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はっけんの水曜日
 
手作りししおどしで優雅な暮らしを


果たしてこれは優雅なのだろうか。

僕の中で優雅な暮らしを象徴する揺るぎないイメージが一つある。

「ししおどし」だ。

水の力で竹が動き、「カコン」と趣のある音を奏でる装置。ザ・優雅。

あれさえ手に入れれば優雅な暮らしはあとから付いてくるのではないか。そう思って作ってみた。

安藤 昌教



いきなり山から始まります

工作がからむ記事の場合、まず東急ハンズから話が始まることが多い当サイトだが、今回は違う。下の写真を見てもらいたい。しょっぱなの写真はご覧の通り、山だ。


しかも写っているのは僕ではない。

優雅さを求めてししおどしを作ろうという今回の記事は、近所のホームセンターに竹が売っていなかったところから始まる。


こんな細い竹しか売っていないのだ。
かといって塩ビパイプでは味がないだろう。

ホームセンターに竹は売っていない。さてこまった、どうしたものか。

そこで思いついたのは知り合いの地主さんだ。噂ではインターチェンジを持っている(正確には所有する敷地内にインターが出来たらしい)という地元の有力者にいきなり電話をしてみた、竹やぶもっていませんか、と。

そしたら案の定持っていたのだ。聞いてみるもんだ。


「あるよ」と快諾いただきました。さすが太っ腹。

地主さんに連れられて彼の家の裏山を登る。

今回の件ではじめてお宅へ伺ったのだが、この地主さんの家がとにかくすごかった。でかい門をくぐってしばらく歩くと池があって錦鯉が50匹くらい泳いでいるのだ。ししおどしで優雅な暮らしを、とか言ってる場合じゃなかった、リアル優雅がここにある。


下に見えるのは蔵です。

なにはともあれ竹ゲット

現実にたたきのめされそうになったが、おかげで竹はゲットできた。地主さんに「何に使うのだ」と聞かれたので「会社の企画でししおどしを作るというので、僕がしかたなく調達することになったのです」と答えておいた。本当は優雅さを得たいという僕の企画で、が正しい。こういうところで正直になれない小ささが今の僕を成しているのかもしれない。


うれしいからまあいいか。

地主さんは庭に生えているタケノコもついでに掘ってくれた。しかも「せめて運びます」と申し出る僕に「こういうのはプロに任せとけ」と言って切った竹もふもとまで運んでくれた(正確には僕の家まで運んでくれた)。

惚れた。


もう旬は過ぎたけどね、と地主さん。
庭ににょきにょきタケノコが生えているのだ。

後ろにピントが合ってしまうくらい興奮しました。
竹を担いですたすた下山する地主さん。すてきすぎる。

完成。

というわけでししおどしが完成した。

実は製作に6時間以上かけているわけだがその部分は省く。なぜなら以前T斎藤さんが記事内で「わりと適当に作ったら出来てしまった」と簡単に書いているからだ。

苦労の様子は細部の写真からくみ取ってください。


途中で重心がずれて穴を開け直したりしました。軸受けにもバラして持ち運べるよう工夫の跡が。
のこぎりにて加工。失敗2本。こういうのを見ると器用な人がうらやましくなる。

ではいよいよ優雅な暮らしの象徴、ししおどしを稼働させてみたい。

おりゃ(水の栓をひねる音)。



・・・。

いや、言わなくてもわかるから。

貧乏くさいんだろう、知っている。たぶん自宅のベランダでやっているからだと思う。もっとこう、苔むした庭園とかでやるべきだったのだ。

でももちろんそんなの家にはない。苔がむしていて水が流れているところ・・どこだ、地主さんの家か。

・・いや違う、あそこだ!


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