スニッカーズを「食べるべき人」とは
そもそもスニッカーズというのは、いわゆる「エナジーバー」と呼ばれるタイプのお菓子だ。棒状で手軽に食べられて栄養補給できる食べ物、つまり、栄養を補給しなければいけない人が食べるもの、だ。
(バータイプではない、キューブ状のお菓子然としたスニッカーズも売られていて、そっちは私もたまにもらったりして食べたりするのですが、やはりスニッカーズと聞いて思い出すのはバータイプの方だろう。今回とりあげるスニッカーズもバータイプのやつだ)
特に、子どもの頃見たコマーシャルからスニッカーズを食べるシチュエーションについては教育された。うろ覚えだが、こんな感じだ。
雪山をがんがんスキーで滑りまくる男性が言う。「おなかが減った、でももっと滑り続けたい!」
そこでロゴどーん。そしてフレーズ、どーん。
「おなかがすいたらスニッカーズ♪」
子ども心に、スニッカーズというものは、他にしたいことがあって食事どころじゃない! という状況でなければ食べてはいけないものだ、と強く刷り込まれたのだ。
食事もしたいスニッカーズも食べたい
だが私は食いしん坊だ。前世の死因は餓死であろうというほどに食い意地が張っている。そんな私に言わせると、食事以上に大切なものってそんなにないのだ。
お腹がすけば、迷わず作業や遊びの手を止めて食事をとる。お腹を空かすために運動することすらあるのだから、生き物として本末が転倒しているなあと世界に対して申し訳なくなることもある。
スニッカーズは食べたいが、スニッカーズを食べて空腹しのぐぐらい、夢中になれるものがない。
……さみしい。
ちがうちがう! 今回はそういう己の業を泣く企画ではないのだ! そうだ、 「ちゃんとした食事をとるのが面倒」だからと代用的に食べるのがスニッカーズだって、それはちょっとスニッカーズがかわいそう、とも言えるんじゃないか。
そこで今回私はスニッカーズに敬意と畏怖を表して「スニッカーズを食べるために」歩きたいと思うのだ。
スニッカーズを食べたいから、歩く
食事の代わりに流し込むように食べるスニッカーズではなく、スニッカーズを食べるためにわざわざ歩く。歩くのは、自宅から会社への8キロに決めた。
なぜ通勤路を選んだかというと、私は普段、朝起きるのが面倒なときなどよく会社に置いてあるお菓子のことを思い浮かべるのだ。
あのお菓子が食べられる! と思うと起きるのが億劫でなくなる。楽しみすぎてちょっと早く自宅を出てしまったりもする(本当です。恥ずかしい)。
そのお菓子がスニッカーズだったらどうだろう。楽しみで楽しみで、早く朝が来てほしくて夜早く寝てしまうかもしれない。8キロの道のりだと早歩きでもだいたい2時間くらいかかると思われるが、途中走ちゃって1時間ぐらいで着くかもしれないぞ。
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