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ひらめきの月曜日
 
本わさびはツーンとしないのか

これはうまい

まずはスライスから攻めてみた。さっき単体で食べたアレに醤油が付いたうえにマグロまで加わるというのだから、これは予測不能なうまさが期待できる。

赤身と大トロ、それぞれを食べてみよう。


サッパリ!
こちらもサッパリ!

脂っけのない大トロなんて! と一瞬テーブルに拳を叩きつけそうになったが、これはこれでいい。ツーンと来ないのに爽やかなのだ。なんだこれは。

続けて、みじん切りにいってみよう。


まずはこれだけで食べてみたところ、スライスしたのよりおいしい! これはいくらでも食べられそう。
赤身にふりかけると最高ですよ。
脂が多いと辛みを感じないって言いますしね、
ここはまんべんなく付けてしまいましょう。
わさびが衣のようになったものを口へ、
思わず天を仰ぐうまさ。

誰に対してかは分からないが、とりあえず「ありがとう!」と言いたくなった。おいしくてありがとう! だ。

わさびに求められるのが魚の臭み消しや殺菌作用なのだとしたら、特に辛みなんて必要ないんじゃないのか。無駄に鼻をツーンとさせなくたってこうしてちゃんとおいしいのに、どうしていつまでも人をツーンとさせるのか。嫌がらせか。

…つい、そんなことまで考えてしまった。

鮫皮の威力

「下ろさなくてもいい」と言った後ではあるが、ついに下ろした本わさびを食べる時が来た。乗せた量がいつもより多いのは「下ろしたって、たいして違わないんじゃないかな」という油断の現れである。

まずは赤身で食べ比べてみよう。


左が鮫皮、右が下ろし金。

下ろし金の本わさびは「ツーンと来るってわけじゃないな。おいしいな」と予想通りだったのだが、問題は鮫皮の方だった。


普段だったら考えられない量でいってみました。
キターッ!

本日、初めてのツーンだった。下ろす道具でこんなにも辛みが違うなんて! と感心してしまうほどにツーンときた。おそるべし鮫皮。

じゃあ次は大トロで勝負だ。脂がすごいから、大量に乗せないとたぶん効かないぞ!


酢飯がこれくらいの量の握りってありますよね。

明らかにエスカレートしている。今こうして写真を見ると「やりすぎじゃないの?」と眉間にシワも寄るが、実際に食べている時は「これは絶対に大丈夫」という妙な高揚感に支配されていた。

そして、それは間違っていなかった。


赤身でツーンときた鮫皮おろしだって、
大トロならツーンなし!

すごい。誰を褒めればいいのか分からないが、とにかくすごいとしか言いようがない。やっぱり脂か。脂がすごいのか。

よく、脂の乗ったお刺身を食べていて「わさびが全く効かないねー」などと言うことがあるが、それは今こそ言うべきセリフだ。

ならば、ならば! 普段から私をツーンとさせているチューブ入りのわさびだって「効かないよー」になるのではないか。


脂は果たして勝ってくれるのか…!?
食べた直後、体が震えました。

調子に乗ってエライ目に遭うということを何度も経験しているが、今回ばかりは身に染みた。ツーンを通り越して痛いのだ。一体、どんな一人罰ゲームだ。おいしく食べられなかった大トロにも申し訳がない。

ああ、わさびが山ほど入った饅頭を食べているなんて、テレビの芸人さんはすごいな。

苦痛に顔をゆがめながら、そんなことを思った。


チューブ入り以外はキレイに使い切りました。

いろいろとすごかった

伊豆でわさび田を見ることができ、そこで無事に取材が出来ていたなら最後の悲劇は回避できたのだろうか。今となってはもはやどっちでもいいが、それにしてもチューブ入りのわさびは本当に鼻に、いや、体にくる。ツーンときて、ゾクゾクッとくる。

「本わさびはツーンとしない」の検証の結果は「イエス」である。しかし、最終的に声を大にして主張したいのは「チューブ入りはツーンとする」になってしまった。本わさびのつもりで大量に使うと、本当にゾクゾクきますよ。

本わさびに似せて作っているなら、なにもここまでツーンとさせる必要はないのでは…とも思いますが、ま、要は使う量を加減しろことですよね。はい。以後、気をつけます。

僅かに残った分は醤油に付けて単体で。瑞々しくて、ちょっとピリッとしてて、うまい!

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