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ひらめきの月曜日
 
努力しないで達成感

●むなしき達成を世に解き放て

 ガッツポーズやトロフィーで感じる達成感。舞台を自宅から外に移して、より深い感動を味わい、さらには世間にその素晴らしさを伝えよう。

 感動の舞台はどこにすればいいだろう。実行したのが3月上旬という時期的なこともあってか、思いついたのはあそこだった。


厳かさにびびります

 やってきたのは、東大の赤門。この季節の達成感の背景として思いついたのがここだった。ここでガッツポーズをすれば、念願叶って合格した受験生のように見えるだろう。


本物らしき人もいるけど
偽物登場

 象徴的なスポットということもあってか、実際に合格した本物の受験生らしき人たちが撮影する姿も多々見られた。そんな中、本物がいなくなった隙をついてガッツポーズを決める。

 春の日差しのいたずらか、顔が光でテカッて年齢不詳な感じが出たのも幸いしただろう。黙っていれば、「晴れて合格!」みたいな感じになった。


あとでビックカメラ行こう!
延長コード買うぞ!

 正門や安田講堂といった有名スポットでも、がっちりポーズを決めてみる。頭の中は別のことを考えているのに、写真だけ見れば10年くらい浪人してやっと合格した人みたいな感じになった。

 ちなみに、安田講堂での撮影のあと、合格した受験生とおぼしき若者とその両親にカメラを渡され、記念撮影を頼まれた。もちろんにこやかに応対だ。

 「春から同級生だな、一緒にがんばろうな」などと、心の中で嘘をついてシャッターを押す。

 特に東大のような有名スポットでなくても、街をうろうろしていると達成感にぴったりな景色と遭遇することがある。「祝」という文字がそれだ。


おめでとう、知らない小学校!
ありがとう、ついに開店です!


 ガッツポーズが不思議とよくなじむ、こうした風景。ありもしない当事者感が出てくるのだ。

 ラーメン屋の開店を祝う花輪の前での撮影は、通りがかりの人から、なんだか温かい視線を感じたりもした。ごめん、嘘なのにそんな気持ちにさせちゃって。

 そしてもう一つ、達成感を出そうとすると、なんだか高いところに登ってみたくなるのだ。


あ、これは登らなきゃ

 高みに臨むと駆られる、よくわからない衝動。無意識に階段を表彰台とでも勘違いしているのだろうか。トロフィーを片手に、軽やかに駆け上っていく自分がそこにいるのだ。


おーい、おーい!
うれしそう

 何をどう思い違いをしているのか、自分でもうまく説明ができない。わけもなく高いところに上がってトロフィーを掲げてみたくなるのだ。そんな様子に、下にいた子供がこちらに目を向け、すぐにそむける。

 大丈夫、無害だよ。達成感を感じてるだけだから心配しないでいいんだよ。


これは上りたい
達成するぞ!

 公園ではすごく魅力的な遊具に遭遇。結構な高さまで上っていける。そして先っちょがとんがっている。あそこまで行ってトロフィー掲げたら、それはもうすごい達成感だろう。

 ライバルとなる子供たちがちょうどいないタイミングというのも、私を祝福しているように感じられる。

 さあ、ファイナル達成感に向かって上ってみよう!


ん?なんかいるぞ?

なんだなんだ?

ああ、うれしそうな人だ!

 

 達成感が実体を伴わない概念であるいうことを逆手に取って、スマートに結果へとアプローチ。結果はご覧の通りだ。

 春の訪れを告げるような一枚で終わった今回の試み。青空にトロフィーを突き上げる私の心に、隠しようのない達成感が湧いてくる。別に努力をしなくても、達成感は味わえると結論づけてしまってもいいのかもしれない。


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