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ひらめきの月曜日
 
努力しないで達成感
 


努力して何かをやり遂げたとき、ついに大きなことを為し得たとき。誰の人生にも、そんな輝かしい場面は訪れる。

 心に湧いてくる充実した気持ち。そう、それは「達成感」と呼ばれるものだ。大なり小なり、誰にもそんな経験はあるだろう。ああ、達成感を感じるってすばらしい。

 それは素直にそう思う。でも、そこに行き着くまでの努力は大変だ。正直あんまりしたくない。

 じゃあ、そこんところはパスしちゃおう。形の方を先に整えれば、結果はあとからついてくるだろう。そういうわけで、努力しないで達成感を得るべくいろいろ試してみました。

小野法師丸



●過程はパスしてポーズを決めろ

 「努力しないで達成感」と題した今回の試み。いや、達成感というのは努力や苦労があって始めて成り立つものだと思う。それはわかってる。

 ただ、達成感と言ったって、別に実体のあるものではないだろう。つまりは心のあり方だろう。ならば到達への道のりや物語は端折っても、味わうことができるのではないだろうか。

 そう考えてまず思いついたのは、ガッツポーズだ。


ノーマルモードの自分から
根拠なくガッツポーズ

 心に「やった!」という達成感が湧いたとき、人はしばしばガッツポーズというのを決める。それは、達成感を表すための最もポピュラーな記号の一つだろう。

 結果の形は見えてるわけだ。そういうわけで、いきなり達成感というゴールを目指してガッツポーズ。

 …なのだが、どうもしっくり来ない。意味はわからないけど、なんか気張ってる人、という感じだろうか。


頭ん中、空っぽ!

 ポーズを変えてみたが、やっぱりどうもそれっぽくない。

 この日は朝10時まで寝て、そのあと何もしないでこんなことしてる。達成感にたどり着くような要素は皆無である。やはり過程という物語が必要なのだろうか。

 なんかむなしい。動画でもご覧いただこう。



 動画で見ても全然ダメだ。静止画ではぎりぎり抑えられていたのだが、トイレで踏んばってる感じがあからさまに前に出てきている感じだ。

 いや、ここであきらめてはいけない。中身が詰まったように見えるガッツポーズを表現すべく、ポーズの素振りを練習してみた。



腹へってきたー!
何食おうかな!

 おお、繰り返しているうちに、なんだかそれっぽさがだんだん出てきた感じがする。頭の中は空っぽのままなのだが、根拠のない雰囲気がにじんできているような気がするのだ。

 繰り返しやってみて気づいたことがある。それは、声を出してポーズを決めると気分が出てくるということだ。これも動画でご覧いただこう。



 声なしでやっていたとき違い、表情に本気度が出てきている。「よっしゃー!」と言ってはいるが、何にも成し遂げてない。にも関わらず、謎の達成感が醸されているのだ。


カレー食いてえ!
撮影中のひとこま

 そのあとも声を出しながら繰り返しガッツポーズを決めてみる。わかったことは、「結構疲れる」ということだ。タイミングを間違えてシャッターが切れた右の写真に、そういう陰の部分が垣間見える。

 もう一つわかったことがある。動きをスローモーションでつけると、達成したっぽさが強まるのだ。



 心によみがえるのは、嘘ばっかりの走馬燈。中身のない真っ白な光の灯火が、自分の中をゆっくりと駆け抜ける。そして最後に声が裏返る。

 意味不明の感動が私を襲う。思い込みだけで達成感は得られる。そう言っていいと思う。

 よし、いい感じだ。この気持ちをさらに加速させるべく、達成アイテムを追加してみよう。


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