ポイント4: 信号がない
川って、ふつう信号がない(あたりまえ)。だからといって暗渠もその特徴を引き継ぐ理由はないのだけど、驚くほど信号がない。なぜか。
大通りと横切るところでは、暗渠は単に無視されるからだ。
環七を横切る地点
記事の冒頭で紹介した、暗渠が環七を横切る地点。
いさぎよいほどぶっつりと道が途切れて、もちろん信号も横断歩道もない。ただし道をわたった向こう側では何事もなかったような暗渠が続いている。
ここでもぶっつり(赤い線が暗渠の幅)
東急線の線路があるからだ (さっきの暗渠は右から)
線路を横切る場所には踏み切りもない。
暗渠は道のような顔をしてるけど、こういう扱いを見ると道と思われてないんだなと思う。もともとの出自を思い出せばそりゃそうだ。川の上に踏み切りをつくってもしょうがないから。
終始こんな調子で、その扱いはちょっと悲しいけど、暗渠は道をぶちぶち切られながらも、マイペースでくねくね進んでいく。
ポイント5: 川底を満喫できる
しつこいようだけど、暗渠はむかし川だったところ。だから道は谷底にあたり、左右のどっちに行くにも基本的には登りになる。
たとえばここで左側の道を覗くと・・
マンションのふもとが上り坂だ
脇が登り坂になってると、「ああ、いま谷底にいる!」と思ってうれしくなる。道の下にある頼りない流れ(いまは下水道になってる)が、かつてはこの一帯を削ってこの谷地形を作るほど元気だったという証拠だから。
この谷もオマエ(烏山川)が削ったのか?
東京のここらへんの川は、昭和30年代くらいになって水が涸れるとともにドブ川になった。そして安全上の理由とかで暗渠になった。冒頭で目黒川の河口の写真を載せたけど、いまでは目黒川もほぼ涸れている。流れているように見える水は大部分が落合の処理場からもらった下水だ。
お前もわんぱくだったんだなーとか思う。
ポイント6: 源流へつづく道
今回歩いている烏山川緑道は、緑道という形で整備されていてとてもきれいだ。
でもその整備された道が終わった先では、ここが本当に都会の真ん中かと思うようなワイルドな元川の姿を見ることができる。
整備された道はこの右側で突然終わり、 中央のうっそうとした林の道につづく。
林の道の反対側からとった写真。
川底地形には水が集まりやすい。だから手を入れない限りこんなふうにワイルドな姿になるのだと思う。
この反対側は神社になっていて、そこから先の川の道のゆくえは分からなくなってしまった。
この道はちがうだろうなー
分かりやすい暗渠が終わってしまった後でも、地形図を見たりすればだいたいの源流の位置は分かったりする。そうやって推測しながら現地の怪しい道を訪ね歩くのもまた楽しいです。
「川だった」は楽しい
ぼくが暗渠を好きな理由は、やっぱり、単なるさみしいだけに見える道が、もともと川だったというだけで特別な道に見えるからだ。
ふだんよく歩いている道がもともと川だったと後から分かるのも楽しい。なるほど、だからあんなにくねくねしてるのか、とか、信号がないのか、とか分かる。あんまり一般的な趣味じゃないかもと思ってたけど、最近だと、東京のどの道が川だったみたいな本が売れているらしい。よしよし、やっぱり面白いよね!とおもって安心した。