匂いを感じるという事は匂いを発する物のごく一部が鼻の中に入ってきているということらしい。
ということは、食べ物の匂いを嗅ぐだけで食べ物のごく一部は体の中に入ってきている。ということだ。存在を感じていないけれど体の中には入ってきている。
僕らと同じ哺乳類のクジラには目に見えないような小さなプランクトンを主食とする種類もいるのだ。ならば僕も目に見えないけれども匂いをすごく大量に吸い込めばお腹が膨れるんじゃなかろうか。
(text by 尾張 由晃)
匂いといえば焼肉
匂いの強い食べ物といえば焼肉だろう。と言うことで焼肉屋さんにやってきた。すでに空腹、焼肉の匂いを嗅いで嗅いで嗅いでお腹いっぱいになってやる。
更に僕がこのお店を選んだのには理由がある。最近の焼肉店では排気周りが整備されていて全く匂いがしないようなところがあるが、このお店は七輪で炭火焼なのである。
匂いを嗅ぐ隙が残されているし炭火で焼いた肉が旨いように炭火で焼いた肉は良い香り。な筈である。
生野菜は匂いがしないので意味がない。ユッケで食事スタート
生野菜、ユッケ、タン塩と僕が考えるオーソドックスな焼肉の流れだ。ドンドン匂いを嗅いでいこう。
いくら嗅いでも匂いがしない。僕が今している「嗅ぐ食事」では全く腹の足しにならない。通常の「食べる食事」で例えると味の無いガムをかみ続ける様なものだ。もっと、味のするものを持って来い。(実際は匂いを嗅ぐだけだが)
店員さんお勧めのユッケ。注文してないけど出てきた。
かなりがっついてる状態。通称クラウチングスタイル
凄く良い匂いだ。ごま油の香ばしさや醤油、砂糖、にんにくの香りが合わさってたまらない。「食べる食事」ではとてもおいしいものの事を「これならいくらでも食べられる」などと言うがこのユッケならいくらでも嗅げる。嗅ぎ続けられる。あれ、更にお腹が空いてきた。
お腹が減った。匂いを吸ったのに。あまりお腹が空いてないと思ってる時に何か一口食べたら 自分の空腹に気づくのと同じか。
肉は焼かないと匂いがしない
拝むように嗅ぐ。敬意をもって嗅ぐ。
知らなかった。塩タンは焼かないと匂いがしないのだ。 その点焼かないと食べられない「食べる食事」と同様か。
胡椒のスパイシーな匂いがツンとくる。良い香りだが香辛料だけではツライ。食べ物の匂いを嗅がせてほしい。やはり肉の匂いはしない。焼かないと匂いがしないのはタン塩だけでは無いようだ。全然嗅ぎ足りない。空腹だ。
匂いを摂取できていないからどんどんお腹が減ってきた。この空腹は目での空腹感だろう。おいしそうなものを見るとお腹が減るからな。
次のページはドンドン焼いて、嗅いでいきます。