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はっけんの水曜日
 
高校生の針供養


針を刺すため、蒟蒻に向かう。

■蒟蒻の元に集結する家政科のみなさん

 式は進んでいよいよ献針。特製の巨大蒟蒻に折れた針を刺して供養する。針にとって、蒟蒻に刺し込まれるのは気持ちよかったり、光栄だったりする事なのだろうか。

 生まれてからずっと布を刺し続けていた針が、初めて軟らかい食べ物に刺される。うーん、うーん、うん、良いかもしんない。きっと蒟蒻は冷たくて適度な固さで気持ちいいだろう。

 針の気持ちを書いて余白を埋めたとこで、実際に針を刺してるところをご覧下さい。


巨大蒟蒻と着物の高校生という、なかなか無い写真。

一礼してから針を刺す。

取り囲まれ、針を刺される蒟蒻。果たして蒟蒻はどういう事に?

よく見るとまち針の頭が点々と・・・・。

 

■こんな感じで針だらけ


それにしてもでかい蒟蒻だな。入れ物含めて特注だろう。

 望遠レンズで針を刺してる手元を激写。こうして見ると、男子生徒も針を刺してたんですね。着物にばかり目がいってて気付きませんでした。針は縫い針、まち針、そしてミシンの針など色々。こんなに折れちゃうもんなんですね。


刺しきれない針は中央にザラザラあけられる。

 全てのものに神が宿るから、折れた針も簡単には捨てない。そういう日本人の精神って僕は好きだ。ちゃんと供養する気持ちが好きだ。


PTAのみなさんも折れた針持参で供養に。

 次々に針が刺され、蒟蒻はどんどん針だらけになっていった。マンナンライフの蒟蒻畑より危険な蒟蒻だ。というか、まぁ、蒟蒻畑は危険じゃないけど。

 

■すっかり針だらけになりました!


おー、すげー。こんな蒟蒻、見た事無い。


これにて終了。舞台は駐車場横に移る。

■最後に昇神之儀

 献針が終わったら、降りてきていただいた神様をお送りする昇神之儀。神主さんの声が響き、体育館での儀式は終わった。

 「体育館での」と書いたのはまだ針供養に続きがあるからだ。針を刺した蒟蒻をどうするか?

なんと、埋めるんである。

 

■行ったらもう埋めてた


スポーツ吹き矢の回で登場の中山先生が穴を掘ってた。

 学園の駐車場横に針供養の石碑が建てられていて、その裏に蒟蒻を埋める穴が掘られていた。今回で61回目となる針供養だそうだが、つまり石碑の周りには61回分の蒟蒻と針が埋められているわけである。

最初は石碑の近くや前に埋めていたそうだが、すっかりその辺は針だらけになってしまったので、石碑の裏手に埋めるようになったのだとか。


蒟蒻が埋められる図。針が刺さる蒟蒻も初めて見たが、埋められる蒟蒻も初めて見た。


後は、川を流れる蒟蒻を見たらいいだろうか。


スコップでもりもり土を掛けられる蒟蒻。


実は、埋められてたのは蒟蒻の上の部分。残りは職員みんなで食べるのだそうだ。

 


埋められる様子を見守る生徒たち。

■こうして針供養は終わった

 みんなが見守る中、蒟蒻と針は埋められ、供養された。中山先生の手際が良すぎてあっという間に埋まってしまった蒟蒻。

 蒟蒻と針は一緒に土に戻り、また別の八百万の神として万物に宿るのだろう。物は生まれ、使われ、滅び、土に帰る。この世のあらゆる物、命、すべてその運命にはあらがえない。

 針供養はそういった流れの一端を僕らに意識させてくれるように思う。日本人は自然に輪廻を理解していたのかも知れない。


針供養の碑。周りは60年分の針だらけ。

 さて、取材も終わったし帰ろうかな、なんて思いながら、挨拶するために大竹先生を探していたら、「こちらへどうぞ」なんて言って、来賓のみなさんと一緒に応接室に案内された。

そこには、驚きの料理が並んでいた。

 

■なんと、先生達の手作り料理がズラリ


ライスコロッケカレー味。下には刻んだ野菜のトマト煮。

 応接室のテーブルには沢山の料理が並んでいた。漬け物、揚げ物、煮物に炒め物。おお、流石来賓用、と思ってズラリ並んだ料理に感心して写真を撮っていたら(食べ物の写真を撮るのが好きなので)、「これ、ここの先生が作った物なのよ」と、来賓の方が教えてくれた。マジデスカ。

 流石、食物科があるだけあって、どの料理もプロ級の出来だった。勿論美味い。味だけでなく、見た目も美味しそうで感心してしまう。料理は見た目も大事ですよね。


デザートまであるんだぜ!

 隣が校長先生だったので色々うかがった。その時の話はこの記事全体に散りばめられている。記事の本題とは外れる話も多いので書かないが、信念を持った面白い先生だった。中でも、服飾関係の専修学校が減っていく中、「意地でも続ける」という言葉が響いた。意地か。そうだ。何事も、意地ってのが大事なんだ。意地を失ったら人間、流されるだけだ。

 僕も意地で続けていたい事がたくさんある。意地がなきゃ続けられない事がある。意地でも続ける。伝統行事でもそうだし、教育でもそうだし、仕事でもそうだ。僕も意地を持ってがんばっていこうと思った。

以上が針供養の様子です

 帰りに紅白饅頭とお弁当をいただいた。どっちも美味しくて、家に帰ってからすぐ、すっかり食べてしまった。

饅頭、超美味い。好きだー!饅頭が好きだ!

もう前の項で大体まとめちゃったので、しょーもない話を書きますが。たまにパンやお菓子に針が混入してたりするじゃないですか。そういうの、針供養と思えば腹も立たないんじゃないですかね。

うーん。

無理ですね。しょーもない事書いてすみません。ではまた再来週。


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