−−今活弁士って日本に何人くらいいるんですか?
「いちおうwikipediaによれば14人らしいですよ」
−−本業なのにwikiで確認ですか(笑)。
「協会とかないんで正確にはわかんないんですよ。でも、コンスタントに活動しているのは、三分の二くらいじゃないですかねぇ。山崎バニラさん(『ドラえもん』のジャイ子など声優でも活躍中)みたいに、バラエティ番組を中心に活動している人もいますしね」
−−坂本さんや山崎さん、あと山田広野さん(活弁士・映画監督)などがメディアに出る機会が増えて「活弁士」って名前を見る機会は増えた気がしますね。
「僕が活弁に興味を持った頃は、弁士は全国で一人、二人という状態だったんですけれどね。第一人者が澤登翠さんという女性の方で」
−−最初に関心持ったのはどこかで見て?
「中学2年の時に『映画鑑賞教室』というのがあって、チャップリンの『キッド』を活弁付きで観たんですよ。感動しました。映画自体も非常に面白かったですが、その面白さをより解り易く観客に伝えてくれるのが活弁士なんだな、と」
−−子供ながらにそんな視点で。
「ちょっとヒネたところがあって。当時から映画は好きでしたけれど、監督とか主役俳優のようなポジションには憧れない。縁の下の力持ち的ポジションに惹かれるんです。メインじゃないけれど、その人がいないと成り立たない。無声映画の分野で言えばまあ、活弁士がそれだと思うんですね」
−−子供ながらに格好良いスタンスだなぁ、と。
「その体験がきっかけで、林海象監督の映画『夢見るように眠りたい』を観ました。劇中に松田春翠さんという、澤登さんの師匠にあたる方の活弁シーンがあって、またビビッと来ちゃって。時代がかった口調がとても格好良く感じられたんです。活弁士、いいなぁ!と。しかしその時はまだ、職業にしようとまでは考えていませんでした」 |