しかしそこに奇跡!
「バドミントンやりませんか?」外に出ると女の子が声をかけてきた。来た。ビッグウェーブだ。
しばれ中学暗黒部所属の私たちが在学中を通じて一回来るか来ないかのチャンスである。ああ、あのときやっておけばなあ、というあの思い。人生に二度目があった。
だが、人生に二度目はなかった。やはりうまく乗れなかった。若いんだからお前行け、と差し向かわせた小柳くんは「福岡から来た」「34歳だ」(我々にしかわからないウソ)という性質の悪い冗談をかましながらバドミントンをしていた。
いや、もっと悪いのは私と石川だったかもしれない。写真撮影にいそしむフリをして、居心地悪そうにしてしまったのだ。
記事ってこんなこと書くところだったか
「ロッチはどこから来たの?」と言われてハッとした。「ごめん、あたしたちの間で登山者っぽいからロッチってあだ名をつけてたんだ」来た!『Boys
Be …』(※)だ!
ロッチ!なんてすばらしいあだ名だろう!山小屋の意のロッジじゃなく?かわいらしく崩したこの距離感?うんうんうんうん、いいよいいよ、ロッチって呼んで!
そんな思いをシナプスでスパークさせながら返した言葉が「へぇ…ロッチね…」なのである。これほど心性に潜む私のいけずを恨んだことはなかった。いけず!私のいけず!
小柳くんも口ではああ言っていたが、体は横っとびになるほど懸命にシャトルを追っていた。ああ、あいつもいけずなんだな。
※十数年前に週刊少年マガジンに載ってたモロ恋愛漫画 |