●あやふやなのも出てきました
ここまで踏切について見てきたが、踏切があのような雰囲気である以上、そこを走る車両の姿もまた同じ趣きがある。なんにもないところを一両編成が走っていくのは、普段都市部の電車を使っている者から見るとやはり味わい深い。
駅も同様だ。無人の駅も多々あり、静かな駅が多かった。上の写真は、今回見て回った中で最も印象的だった「上総川間(かずさかわま)駅」。
駅舎やホームもこれ以上ないくらいにシンプルだが、駅前がこれでもかと畑であるのにもグッと来た。
さて、話を踏切に戻そう。上総川間駅の様子からもわかるように、田んぼに囲まれている部分も多いこの路線。時にはあぜ道をたどって踏切があるかどうかを確かめることもあった。
写真の例では残念ながら踏切にはなっていなかった。うーん、惜しい…。
踏切になっていなくても、渡ろうとすればひょいと行けてしまう感じではある。ただ、今回はあくまで踏切であることのギリギリ感を突き詰めてみたいのだ。
そういう意味で、この踏切は限界に迫っていると思う。
踏切であるのかどうかよくわからない踏切。前ページで紹介してきたものと違い、黄色と黒の柵がないために不安感が漂うのだと思う。
それでも二本のレールの間に木板が敷かれていることからすると、ギリギリで踏切であるようにも思える。
そして、その木板もなくなってしまったのがこれだ。
ここまで来ると、もう踏切感はないと言っていい。実際に踏切でないとも思う。ただ、線路の両側に道らしきものがあること、そしてその道を挟んだ部分の枕木が白く、人の往来をうかがわせることが、消えてしまいそうな踏切らしさに、ギリギリで待ったをかける。
この現場と出会ってほどなく、路線の終着点の上総中野駅に到着。上で紹介した上総川間駅と比べるとそれなりに立派な駅舎であるが、ここも無人駅。
第4種踏切めぐりをテーマにして訪れた、小湊鐵道。
小湊鐵道は踏切以外にも、懐石料理列車を運行していたり、レールを走る軌道バイクの体験運転ができたりと、魅力がいっぱい。と言うか、踏切は魅力かどうか微妙か。
期待通りの表情ある踏切をたくさん見ることができて満足でした。