●作戦その3 「読めない漢字は調べよう作戦」
誌面に登場する難しい漢字に「ルビ」と呼ばれる読み仮名をふったりして、誰の目にも読みやすい文章にするのも編集の大事な仕事である。恥ずかしながらぼくはそれほど漢字に強くないので、本棚の漢和辞典は欠かせない。
分からないことはすぐに調べる、その姿勢は編集者として正しい。そんな一見勤勉に思える彼も、驚いたことに早弁をしている。
捨てようと思っていた古い辞典は早弁用の弁当箱として生まれ変わった。そして今回も早弁は見事に成功したのだ。
ここまでの作戦はすべて成功だ。後輩はまったくぼくの早弁に気付いていない。反応するのが面倒なだけかもしれないが。とりあえず上司に咎められることもなく3食をたいらげた。
これはもう少し大胆に攻めてみてもよさそうだ。
●作戦その4 「ラーメン食べつつキーボード打ち作戦」
最後はぐっと難易度を上げてラーメンの早弁に挑戦する。どんぶりが目立つ上に、食べる際にズルズルと音を立てるラーメンは早弁界のウルトラCであるが、いまのぼくに不可能はない。
ウイスキーなどの空き瓶にラーメンを入れて懐に隠し、ストローで吸おうという作戦だ。ストローなら音も出ないし、これはいけるはず。…と思っていたのだが瓶に入れたラーメンはあまり好ましくない容姿となってしまった。
そうはいっても、もう入れてしまったものは仕方ない。もうちょっとだから頑張れ、おれ。
普通に食べるのが一番おいしい
ストローですするラーメンなんてちっともうまくない。麺をズルズルっと豪快にすするのが醍醐味なんだから。
ラーメンに限らず、こそこそ食べるご飯は正直なところあまりおいしく感じられないのだ。学生時代の憧れを実現して、何だかとても当たり前のことに気付かされた感じがする。
あと、この記事を書いていて、ぼくはそろそろ髪を切りに行った方がいいということにも気付かされた。