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はっけんの水曜日
 
そもそも、山登りはなにが楽しいのか?

■その6 乳房観音とか、面白い神様に出会える


乳房観音。思わずモジモジしてしまう名前だ。乳房!観音!官能、ではない。

 奥多摩の本仁田山に登った時、登山道の入り口に「乳房観音」という看板が出ていた。5分と書かれていたので見に行くと、小さな社に納められた観音様があった。


乳房は格子戸に閉ざされている。クローズド乳房である。

 なんでも、社の横に生えている銀杏が大事な木で、そこから巨大な乳根(気根)が出ていたのだといいます。その乳房感から、母乳豊穣の信仰を持ってあがめられたのだそうです。オマケに最近では乳ガン予防の御利益もあるそうで、つまりはおっぱい神様なのです。

 こういう、変わった信仰に会えるのも山の魅力です。で、観音様の写真ですが、見せてあげないので本仁田山に登りに行って見て下さい。

 


1mくらいあるケルン。道しるべになってたりする。

■その7 山には意外なものが唐突にあって楽しい

 山には下界に無い物がたくさんあります。例えばケルン。登山道の石や岩をよけて出来た石の塔です。

 野グソをしてその上に石を積んでおいたら、数年後立派なケルンに育っていたと言う話があるので、下にはウンコが埋まっているのかもしれません。

 ダイナミックな倒木や、落石の後、動物の痕跡なんかも面白いです。では、写真をどうぞ。


なぜか豪快に吹き飛んでいる東屋の屋根。怪獣でも出たか。

落石が直撃してひん曲がったガードレール。こんなの当たったら即死ですわ。

根こそぎ倒れた原生林の巨木。実は自然破壊の最大の犯人は自然だと思う。

去年の台風で倒れた杉の木。去年は山が大荒れでした(もう大分片づけられました)。

富士山は高度が上がっても下界と変わらない。

山頂に自動販売機があるくらいだもの。

■ミニカッパドキアもあったりする

 トルコの奇岩エリア、カッパドキアって知ってますよね。ひょろひょろした岩の塔が林立してる観光名所な訳ですが、それに似た物が山で見られます。


ミニカッパドキア、かわゆすなー。

 本物のカッパドキアは、柔らかい地層の上に堅い岩が乗り、それを雨が浸食したら岩の下だけ残った、という成り立ちです。山のカッパドキアも大体同じ様な成り立ちと思われます。地面に落ちた小石の下だけ土が残り、周りは浸食された訳です。


夏、雨の多い山に行くと見られます。かーわーいーいー。

 

■工場とか氷とか、見どころたくさん


 更に色々まとめて紹介したいと思います。とっちらかった感じもありますが、個別に記事を書くほどのボリュームも無いのでまとめて紹介しちゃいます。


奥多摩の石灰岩工場。緑の中に唐突にある感じがいいですよね。T・斎藤さん(金曜ライター)ならわかってくれるはず。

 

 雪山で見られるものもいちいち良いんですよ。


冬、まだ凍りきってない水場の周りに出来る氷まんじゅう。まりまりして可愛い。

 

奥多摩の大岳山という山に行く途中で撮りました。表面のザラザラ感も素敵。

雪山では動物の足跡が残っている。肉球の跡が可愛い。

 


山では霧が掛かる事が多い。下界から見ると雲の中って事になるんですが、その場にいると霧なんですな。

■その8 適度な悪天候が楽しい

 もちろんひどい悪天候が判っている時は山に行くのは中止しますが、曇りや小雨程度なら登りに行ってしまいます。まぁ、見晴らしは期待出来ないですが・・・。

 でも、雨天装備を付けて雨の中を歩くのも、1日程度なら割りと楽しいもんです。


霧を通してぼやっと明るい空を見る。神秘的ー。

霧の中から謎のクリーチャーとか襲いかかってきそう。


ミストって映画(霧の中から怪獣が襲ってくる映画)がありましたが、大体そんな雰囲気。怖くもあり、神秘を感じもする。

 

■雨歩きはちょっと楽しい

 多少の雨なら雨具は着ないですが、量が多かったり時間が続いたりすると、雨具、ザックカバー、スパッツをフル装備します。フル装備だと雨の中を歩いても全然濡れなくて快適です。



大嵐で登頂を断念して帰ってきたところ。


全部着込むと荷物が軽くなるので、歩くのはつらくない。



富士山は唐突に大雨になります。登るなら雨具(上下セパレートの)は必須。

 山ではかなりの確率で雨が降るので、夏でも冬でも晴れてても、予報が良くても雨具はいつも持っていきます。雨で濡れて稜線の風に吹かれたら、真夏の2000m級でも凍死する場合がありますから。だから山登りに雨具は必須です。


ザックカバーはゴミ袋で代用する人も多い。


雨具はカラフルで目立つ色が多い。多分、遭難した時に見つかりやすいから。


本当に悪天候の時は山頂を目の前にしても撤退を選ぶべき。

 雨の中を歩く楽しみってのは、多分、四駆の車で悪路を走って楽しいのと同じ事だと思う。自分の装備でどれくらい自然と戦えるか、そんなチャレンジ的楽しさ。雨の日は雨の日で、そういう楽しさもあるんですよ。

 


厚いスチールで出来たポカリスウェットの缶。なつかしー。

■その9 落ちてるゴミが古くて面白い

 山にゴミを捨てるなんてのはもっての他だけど、昔の人は結構その辺いい加減だったみたいで、古い空き缶とかよく落ちています。それらを見ると、なんだか懐かしかったりプチタイムトラベル出来たり、なんだか愉快な気持ちになってきます。

まぁ、ゴミ捨てるなよ、とも思いますが。


「さちこ」って名前が書いてるファンタの缶。スチールなので錆びてます。

はごろも、パイナップルの空き缶。古い缶マニアは山に行くと良いよ。

雪印のパイナップルジュース。山ではパインが流行ってた?

コーラの空き瓶。瓶なんて重い物、よく持ってきたな。

 


オーソドックスなゴミ捨て防止看板。

■その10 看板が面白い

 山には登山者に語りかける看板が多数あります。内容は主にゴミを捨てないようにとか、危険な場所に行かないようにとか、そういう感じです。

最後に、それら趣深い看板達を紹介したいと思います。


熊がくまったという古典的ダジャレ。括弧付きで解説しているのがまた良い味を出している。

熊の看板はよく見るが、カエルの看板もあった。なんとシリーズ化されていた。この記事の為に写真を整理してて気付いた。

看板には動物が載っている物が多い。いなせリス。

どう見てもハッチです。ハッチがハチに対する注意を促す。

「熊に注意!」とかそういう意味かと思ったそうです(同行のナオミさんが)。

味のある古い看板も多いです。大木ぼんど風の眼鏡が素敵。

「山道」という、判りきった道しるべなんかもあります。
 こういう、山だけで使う看板だって誰かが頭を働かせて作っているはずなんですが、それは街にある看板とはやっぱり一線を画す感じがあると言いますか、担当者の暴走を感じたりするものが多いです。それも山の魅力。

■中でもよかった看板的なものを最後に3つ


「ゴミも恋人も捨てないでね」と、なぜか唐突に出てくる「恋人」。

 上の写真は、奥多摩に行った時に撮影した看板。金属で出来てるのに折れ曲がっていて、錆びていて、更に内容と相まって妙なオーラを出していました。これ作った人、なんか嫌な事でもあったんでしょうか。

次は2つ目、見た時ちょっとドキっとした看板。


一見すると普通ですね。

でも。最初に見た時、・・・


「あなたはゴミ、みんなが迷惑しています」

 「あなたはゴミ」に見えてしまって、ドキ!っとしました。そうなのか!オレ、ゴミだったんだ!みんなが迷惑してるんだ!マズイ!消えたい!死にたい!でも死ぬと、それはそれで迷惑だから目立たずに生きていこう!と思いました。

その後、「あなたのゴミ」って理解した時の安心感といったら。

3つ目は看板じゃないけど筑波山で見たすごい短冊。あんまり山は関係ないけどね。


ドラゴンボールで頼むなら、間違いなくこれだな、と思った。この小6は天才だと思う。

みんなも山に行けばいいのに

 以上、普通に山の魅力をまとめてみた。奥多摩と八ヶ岳ばっかり行ってるので、写真がもの凄く偏ってて申し訳ないです。今年は南アルプスとか行きたいなーと思っているので、山行の様子を普通に書いてみたくも思ったりします。

 こんなに楽しい山なのに、山登りをしてるのは中高年が多くて20代30代の人はあまり見ません(見ないだけで、もっと凄い山に行ってるのかもしらんけど)。都会の近くにも手軽に行けて手軽に登れる山がたくさんありますので、みんなももっと山に行ってみたら良いと思います。

眺め最高!食べ物美味い!スリルがあって楽しい!変なものもある!山、最高!!
山頂の記念撮影をまとめてどうぞ。

今から装備を揃えて春に山歩きデビューとかいいんじゃないでしょうかね。登山靴、ザック、雨具あたりを揃えればとりあえず2000m級くらいすぐ登れますよ。楽しいぞー、山。山で僕を見かけたら、気軽に声を掛けて下さい。


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