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不安な土曜日
 
芥川賞の連絡を勝手に待つ

築地の新喜楽で選考されるらしい

芥川賞の選考会は、築地の新喜楽という料亭で行われるらしい。選考委員は、石原慎太郎さん、宮本輝さん、村上龍さん、小川洋子さんなど、そうそうたる面々だ。

選考は17時から始まるので、その少し前に新喜楽の前までやって来た。
受賞となった場合、そばにいた方が何かと都合がいいと思ったのだ。


選考が行われる新喜楽前

新喜楽の前には報道陣が並んでいた。選考結果をいち早く報道するためであろう。もし「アリスの花」が受賞となったら、この人たちに囲まれる事になる。その時の受け答えも用意しておいた方がいいだろう。そんな事を考えていると、向こうから林さんがやって来た。林さんは掲載媒体の責任者である。連絡が入るとしたら、まず林さんに電話がかかって来るに違いない。新喜楽の前で一緒に待ってもらう約束をしていた。


新喜楽の前で朗報を待つ、作家と編集長

この日のために、林さんの着物を借りた。林さんは編集者らしくジャケットにパンツという出で立ちである。僕たちが考えた、「作家と編集者」の恰好である。


未来の芥川賞作家は着流しで

編集者はジャケット姿で

昭和の文豪をイメージして常にタバコを吸って待つ。新喜楽がある中央区はまだ路上喫煙が禁止されていないから大丈夫なのだ。


招かれざる客

17時を過ぎると、報道陣は新喜楽の中に入っていった。選考の結果を中で待つらしい。僕たちは作家と編集者なので中に入る事は出来ない。そおっと中の様子を伺ってみた。


どこで選考会が行われていて、報道陣はどこで待っているのか?

全く分からない。入口の前でしばらくウロウロしていたら、番頭さんが出て来た。現状を聞いてみよう。


番頭さんに様子を聞く

住「もう、選考会は始まってますか?」
番頭さん「ええ、もうやってますよ」
住「何時頃、決まるんですか?」
番頭さん「7時頃だと思うけど、アンタたちは?」

作家と編集者です、と答えるべきだろうか?

「あ、観光です」

すかさず、林さんがそう答えた。面倒臭い事になる、瞬間的にそう判断したのだろう。番頭さんは「ああ、観光か」と独り言のようにつぶやきながら、忙しそうにお店の中へと戻って行った。


多分、選考委員さんのハイヤー

結果が出るまで2時間近くもある。2人とも薄着だ。新喜楽の前で待つのをあきらめて、近くのファミリーレストランに入る事にした。走れば1分で戻って来れる距離である。


ジョナサンで待ちましょう




 

 
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