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ちしきの金曜日
 
長距離じゃない深夜バスの旅

帰りたい‥その念がバスを動かす

そして1時20分定刻にバス出発。先に書いたとおり満杯、それは別にいい。だがそれとは別の狭さが‥というのも席の幅がキッツキツなのだ。


足が太いのは否定はしません、が‥それにしても。

膝が前席にぶつかってギチギチ。これ毎日乗ったらエコノミー症候群どころじゃないだろなぁ‥。まぁ毎日乗るのが前提ではないのが助かります。ちなみに乗客の中心は30〜40代の会社員男女。わかりやすく酒に酔った感じの人は見あたらず、この時間までお仕事という疲れオーラが見受けられる。ご苦労様です‥。

席の広さを見ればわかるとおり、深夜バスといっても長距離バスのような優雅なものではなく、車体自体は路線バスの延長線。ただ席がいっぱいになると2号車に、と立ち乗りは無い様子。


車内はいたって珍しくもなんともない光景。
しかも霜で外も見えません。

乗って10分くらいしたところで「しまったなぁ‥」と思い始めた。深夜ってだけでバスの中身も走る所も普通の路線バスと変わらないっちゃー変わらないんだよねえ。駅の数が少ない+深夜ってだけで。

それに工藤さんがリアルタイム更新記事「稚内から東京へバスで帰る」で書いてたとおり、混んでるバスって撮影しにくい。しかも外がロクに見えない。記事になるのか、これで。


仕方なく「わー、バスって棒がいっぱいあるなぁ」と思って撮った写真。

写真は正直使える物は少なくなりそうだ‥と思ったものの、車内の雰囲気は長距離な方の深夜バスとはぜんぜん違うので思うことはいろいろある。たとえば

1.トイレ&トイレ休憩がない。

長距離バスとの決定的な違いはコレだろう。今回の場合始発の池袋から終点大宮まで2時間強、ノートイレを強いられる。いつもなら我慢出来る時間だけども、もしこれがお酒入った状態だったら‥。頻尿気味の人にとっては結構ピンチな乗り物だ。

2.旅ムードがない。

深夜バスというと遅い時間とはいえ「今から旅に出るぜ!」「ふるさと帰るぜ!」というアッパーさが乗客に滲み出てるもの。ただのバスなれど、日常→非日常の扉を開ける夢のカボチャの馬車だけに。しかしこっちの深夜バスは疲れた身体を乗せて自宅に帰るための日常to日常なもの。終点への到着時刻は2時過ぎだけに、旅行用に使うでもない。そりゃ旅気分夢気分なんて皆無だ。

それに旅だとグループで乗るものだけど、ほとんどが1人客。たとえ2人組でもどちらかがすぐに黙り込む。ワイワイした雰囲気には決してならない。

そのお客さんの疲れっぷりは以下のとおり。最初は普通の路線バス然としていたのが、乗ってる人の首の角度がどんどん斜めになっていく。30°が45°、さらに80°くらいまで。


もう90°近く曲がってます。
窓側は足・尻・頭の三点ポジションが基本。

やはり野戦病院。しかし漫喫やサウナの仮眠室に行くでもなく、帰る決意を決めた彼らの念がバスを走らせる。待っている人たちのために−−いや、そんな格好よかないですが、沈黙の中深夜バスはひた走ります。

気づけば自分の首も窓を支えに。

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