嘘の壁づくり
東急ハンズで一通りの買い物を済ませ、事務所に戻ってきた。
早速、段ボールに壁紙を貼っていく。
曲がらないように、空気が入らないように、慎重に作業しなければいけない。奇麗に貼らないと、この壁が嘘だとすぐにバレてしまう。
壁紙を貼った段ボールに、買って来た「肖像画」を飾る。 僕が選んだ「肖像画」は、これだ。
レオナルド・ダ・ヴィンチ先生の「モナ・リザ」である。映画やドラマに登場する「肖像画」の監視穴といったら、やはり「モナ・リザ」が定番だと思うのだ。どの映画とか、どのドラマとか、具体的な情報は一切ないのだが、そういうイメージがある。僕の勝手な思い込みかもしれない。
1ページ目で述べたが、このサイズで6500円である。 6500円もしたポスターに穴を開けようとしているのだ。
もったいないし、レオナルド先生に申し訳ない。でも、穴をあけなければ監視が出来ない。
すいません、あけます。
黒目の部分に穴をあけたら、「モナ・リザ」の目が僕の目の高さにくるように位置を決める。
「モナ・リザ」の目からキリを通して「嘘の壁」にも穴をあけていく。
これで監視穴が貫通した。
あとは隠し扉をつけるだけである。 金属用の強力両面テームで蝶番を固定していく。
隠し扉の設置が完了して、ついに「監視穴付きの肖像画」が完成した。
予算が足りず、当初の計画とは随分違うものになってしまった。 図解で説明しよう。
「嘘の壁」というよりも、「不自然な出っ張り」になってしまった。この出っ張りの中には絶対誰かいる。秘密の監視穴からはほど遠い。
なんでこんな事になってしまったのか?
いや、写真の撮り方次第では、秘密の壁っぽく見えるかもしれない。 次のページで挑戦しよう。