●歌詞を再現してるのに、やっぱりふざけてるっぽい
向かったのは、沖縄本島北部からフェリーで30分ほどのところにある伊江島という島だ。
「IE」ってなんだ?
船内では沖縄そばが100円
船についている「IE」のマークがかっこいい。どういう意味かと考えて、「伊江」ということだと思い当たった。
30分という短い旅だが、船内には売店もあって沖縄そばが100円という安さ。そばは簡易的なものだが、それでもその値段はうれしい。
ついにやってきた伊江島。渚のバルコニーを探すのも大きな目的ではあるが、それだけではなく、「渚のバルコニー」の歌詞を忠実に再現するのもやってみたい。
一番の歌詞によると、男役はジーンズを濡らして泳ぐことになっているらしい。実行してみよう。
そういうわけで、島のビーチでジーンズに履き替えた。沖縄の景色の美しさと、そこに来た目的のどうでもよさとが相まって、解釈不能な写真になっているのは気にせず、さあ、海に入ってみよう。
沖縄のリゾート感と拮抗するダメな感じ。いや、拮抗と書いたが、どっちかというと、ダメな感じの方が勝っているだろうか。ここはなんとかかんばりたい。
さすがは南の島の海、12月下旬とは言え、思っていたよりも水は冷たくない
ごきげんで手を振っているのではない
×印でよりはっきりとダメのサイン
左の写真、カメラに向かって愛想を振りまくように手を振っているように見えるかもしれないが、そうではない。「泳ぐのは無理」という意思表示として手を振っているのだ。
はっきり伝わらないかと思って、×印バージョンも撮っておいた。思っていたよりは冷たくないけれど、泳ぐのは無理。
それでもジーンズを濡らすことはできた。やや簡略化したが、ここでのミッションは達成としたい。
さて、続いて二番の歌詞では、海沿いのカーブで走りすぎる車の数を数えることになっている。そういうわけで、島内を車で移動しながら海沿いのカーブを探すことにした
しばらくして海岸にほど近い道で、いい具合のカーブを発見。歌詞の雰囲気ではあんまりヘアピンカーブという感じでもなかったので、なだらかでちょうどいいと思う。
さあ、走り過ぎる車を数えよう。
車、来ないな…
くるま…
紙とペンを用意してカーブに座る。「正」の字を書いて数える気まんまんなのだが、どうも車が来ない。
確かにそうだ、ここに来るまでもすれ違う車はほとんどなかった。カーブを通り過ぎる車を数えるという行為自体に意味があるのかもわからないが、車が来ないと空しさに拍車がかかる。
こんなことしてないで、もっと島を楽しもうよ。そう思っていたとき、向こうから音が聞こえてきた。
やった、車だ!
喜び勇んで書く「正」の一画目
待ち始めて15分ほど経った頃だろうか、軽自動車がゆっくりと走ってきた。やった、これで車を数えられるぞ。
用意してあった紙に短く横線を引く。ただ、このあともしばらく待っていたのだが、他に車が来ることはなく、「正」の一画目以上に進むことはなかった。
まあいいだろう、数えたことは数えた。ミッション完了としてしまおう。まだこの後、一番大きなするべきことが残っているのだ。
バルコニーがない
バルコニー…
そう、それは渚のバルコニーを探すということだ。離島ということもあって渚は普通にあるのだが、バルコニー装備という条件を満たすとなると急に見つけるのが難しくなる。
聖子ちゃんが言っていたのはここではなかったか…。失意のままに港の方に戻ってくると、思いもよらない発見があった。
民宿「なぎさ」である。奥の方には漢字で書いてあるのも読み取れるだろう。意外なところにあった渚、果たして条件を満たしてくれているのだろうか。