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ちしきの金曜日
 
知らない業界インタビュー

業界4:パッケージ印刷

お名前:河野さん(26歳)
お勤め先:印刷業
この仕事に関わってから:6年
主な仕事:いまは通常の印刷物だが、前の会社で化粧品のパッケージ印刷に携わっていた。

−−−パッケージの印刷は難しいんですか

印刷機は特殊なものではないのですが。オペレーターの技術がないといい色が出ないんです。オペレーターの技術はおおいに関係します。化粧品業界はお客さんの要望が厳しくて、ちょっとでも色が濃かったり薄かったりぶれたりすると完全にアウトです。

カラー印刷はCMYKと呼ばれる4色の組み合わせで表現するんですが、そのほかに特色といって、特定の色用にインクを作るんです。インクをバットみたいなものに出して、スキージというヘラで練って作ります。スキージはお好み焼きをひっくりがえすものにそっくりです。

ここをインクの調肉っていうんですが、これは人の技術ですよね。

−−− 箱の展開図は誰が考えるんですか

だいたいお客さんが考えます。化粧品会社に箱の形とかサイズを専門に扱う部署が化粧品会社にはあるんです。印刷会社には完全データで入稿されます。印刷会社にデザインからお願いというパターンは、化粧品会社に限っては、ないですね。完全に自社で作ってプライドを持って入稿してきますね。

紙は提案します。こっちの紙のほうが色が出ますよとか。印刷するときも工場まで来てなんども印刷機をまわして現場で確認しますね。

−−− あとから言われることは

あります。色が悪いとかほこりがついているとかで謝りに行きました。絶対素人には分からないような違いですなんですが。
回収して刷り直しで利益なくなっちゃいます。

そんなパッケージでも店頭に並ぶときに箱から出されて瓶だけになってるのをよく見ます。


特色ばかりです

−−− チェックを厳しくしないといけないですね

検品をきっちりします。ほかに虫とか髪の毛とか入っていると異物混入になるので検品する人は給食当番みたいなカバーをつけてやってますね。

普通の印刷ではそんな厳しい検品はしないです。服についたほこりがついてもいけないので、エアーでほこりを取ったり、コロコロでとったりしてますね。

工場に窓はあるんですがあけちゃいけないんです。虫やホコリが入るので。牢獄のようです。

−−− よかったことは?

得したことはお客さんからサンプルとかもらえます。ハチミツの会社と取引があったときは、500gの瓶を3ダースもらいました。

−−− 仕事柄気になることとかありますか

印刷物を見て何色(なんしょく・色の数)だろうとか気になりますね。電車でも面白い中吊り、ラメが入っていたり、飛び出したりしてるものはどうやって作っているの見ちゃいますね。文庫本とか書籍とかでも薄い紙使ってるなーとかそういうの思います。


知ったかぶって人に言いたくなったこと

・インクを作ることを「調肉」という
・化粧品の会社はパッケージデザインを自社で行っている
・箱も化粧品と同様の品質を求められている

印刷機にかければプリンタのように勝手にできあがるものだと思ったら全くそうではないらしい。インクを練って色を再現しているなんて。しかも「調肉」という名前。意外なことだらけである。



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