業界3:ブティック勤務
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お名前:鈴木さん(仮名) (36歳)
お勤め先:セレクトショップ
この仕事に関わってから:13年
主な仕事:販売と仕入れ
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−−−こう言えば話が続く、みたいな王道のパターンはあるんでしょうか。
意外にあるようでない気がします。これを言えばこう返ってくるというのはないですね。テンプレート的ですが、今日持ってるものとか、着てるものとかの話題にはします。だけど、案外そういうのって話はしてくれるけど長続きしてくれないんです。こっちが話すんじゃなくて話をしてもらうのが理想です。
「あまりうるさくするのは好きそうじゃないなとか」とかお客さんを観察して、好みに応じて自分のキャラを変えてゆきます。あとは1回笑わせたりとか。
−−−店員さんが言う「これ私も買ったんです」というのは本当ですか
あれはけっこう本当ですよ。服が好きなんで買っちゃいます。
−−−店員さんってみな着こなしがかっこいいですよね
やっぱりお店に鏡があるので。嫌でも自分を見る回数が多いんですよ。お客様に服をあてたり着てもらったときに、鏡の前に立ってもらうと大抵自分も写っちゃうんですよ。 お客さんがかっこいいひととかスタイルがいい人だと自分がああ、これじゃだめだ!って思います。
−−− そんなこと思ってるんですね。
思ってますよ。できるだけ鏡に映らないようにしたり。でも若い子はほんとに鏡すきですけどね。話をしていても、3回ぐらい鏡を見てます。
−−− すごい技術を持ってる先輩はいませんでしたか?
レジでお金払おうとしてるお客様の財布にすごくお札が入ってたりゴールドカードが入ったいたりすると、またすすめて、1回目に買った以上のものを買ってもらっている上司がいました。すごい!って思いました。そんな人その人しか見たことがないです。
−−− どうやってもういちどすすめるんですか?
忘れてたような感じで言ってました。「あ、そうそうそう」って。
「そうだったこれだった、忘れてた!これ見せたかったんですよう」って言って。それからまた再び接客に入っちゃうんです。
−−− 鈴木さんはそういうのありましたか?
以前、メンズの店に勤めていて、そこはハンガーをかけるバーが二段になっていたんです。私は背が低いから上の段のバーに手が届くか届かないかぐらいで。逆にお客さんに「あれとってください」って言いうと話が始まるんですよ。
−−− 忙しい時期とひまな時期は?
すごいあります。寒くなり始めといよいよ寒くなったときが忙しいです。10月と12月あたりかな。寒くなるとあったかいのを買いに来るんですよ。人間っぽいですね。
−−− 暑くなったときは
暑くなったたときは来ないですね。脱げばいいだけですから。すごく寒いときとすごく暑いときは来ないです。寒すぎるのって2月ですが、そのころはぜんぜん人が来ないです。
でも夏はセールがあったり、秋物が入るのでお客様にアクションかけられます。DMとか電話をしたり、メールとか。
−−−そうか、秋物って8月に入ってるんですね
ことしは6月に秋物を入れていたんですが、6月7月に秋物を買いに来る人は おしゃれな人が多いです。先物買いの人は人と違うものが欲しいんですよ。11月に来る人は人と一緒のものが欲しい人が多いですね。安心感というか。流行りもそれなりに分かってますし。
−−−1日で忙しい時間はやっぱり仕事帰りの時間ですか
そう思いますよね。OLさんの服をやってたときは夜とか夕方なんですが、いまは美容師や学生のお客さんが多いので、逆に昼間が忙しいです。夕方はそれほどでもないですね。土日はみんなゆっくりしてるから、夜のほうがお客さんが多いです。土日のほうが遅いですね。立地と品揃えによって違うと思いますが。
−−−高級品とそうでないものの差は
素材がちがいます。いい物は気持ちがいいですよ。寝ちゃう感じ。
分かりやすいのはコートとかレザーだと思うんですが、安いのは重いんですよ。おばさまが着てる高いのって軽いんですよね。レザーはなめすんですが、そういう工程があったりすると高くなります。そのなめしの技術だと思うんですよね。
デザイナーの人柄もありますね。デザイナーの価値観だとかで値段が変わってくることがありますね。安くして着てもらいたいとか、アートに寄りたいという人は買ってくれる人が少なくてもこれを作りたいとか。 |