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ロマンの木曜日
 
52年ぶりに巨人がやって来る
ポニョじゃないよ

誰にだって苦手な物くらいあるはずだ。僕は3つある。高い所とニンジンと熱い食べ物である。過去に高い所と熱い食べ物を克服しようと試みた事はある(参考記事:「高所恐怖症克服大作戦」「猫舌と向き合う」)。色々とやってはみたものの、未だに高い所は怖いし熱い物は食べられない。別に克服する必要なんてないのかもしれない。高い所に近寄らず、ニンジンと熱い食べ物を口にしなければいいのだ。これからの人生、それでいい。たいした事ではない。

と思っていた矢先、林さんから「高い所で熱いニンジンを食べるのはどうでしょう?」と提案があった。言っている事の意味が分からず、2回確認した。それはどういう意味でしょう?

「だから、高い所で熱いニンジンを食べるんです」
だから、と言われても困るが、林さんが考えたショック療法だという。

「苦手な物をいっぺんに克服するチャンスです」
そんな甘い誘いにのって、林さんと2人で福井県の東尋坊に向かった。

(text by 住 正徳



用意周到

羽田空港から飛行機で1時間弱、まずは石川県の小松空港に降り立った。小松空港からタクシーで小松駅に向かい、特急で芦原温泉駅を目指す。芦原温泉から東尋坊まではバスで40分。14時には東尋坊に到着する予定である。

小松空港から東尋坊までの移動中は、林さんの企画「福井ライムツアー」で韻を踏んでいた。その中で僕は、「東尋坊はイカの香り、これからの事はドントウォーリ−」とライムを残した。崖を目前にして、自らを励ましていたのだ。

それくらいナーバスな気持ちで崖に向かっている途中、林さんは小松駅前のデパートでニンジンが沢山入った「大根煮」を購入していた。レンジで熱々に温めてもらった後、保温バッグまで買う徹底ぶりだ。そこまでして僕に熱いニンジンを食べさせたいのだろうか。崖の上で。



ニンジンが沢山入っている料理を選ぶ林さん 握手しているように見える
保温バッグを購入 準備万端

挑む絶壁は東尋坊大池

東尋坊。日本海の荒波に削られた断崖絶壁が続く場所。絶壁の高さは約25メートル、自殺の名所としても知られている。

現地に来るまではうら淋しい景色を想像していたのだが、実際は違った。絶壁に向かうまでの道にはお土産屋さんが軒を並べ、観光客も沢山いる。僕も浮かれて思わず頭に被る傘を買ってしまった。


にぎやかな雰囲気に流されて

傘を被りました

しかし、そんな観光気分もそこまでであった。絶壁への道を示す看板が何だか寒々しいのだ。一気に浮かれ気分がどこかへ行ってしまう。


冷たい印象の看板

張り切って道案内する林さん

それではここで、今回の舞台について解説しよう。

今回、僕が挑む(挑まされる)のは、東尋坊の中で最も有名な「東尋坊大池」という絶壁である。


模型で言うとこのあたり

ここ 横から見るとこの高さ

崖っぷちに手すりはなく、足元は岩がゴツゴツしていて歩きづらい。強風が吹いたら落ちてしまいそうだ。

そんな崖っぷちに立って下を覗きながら熱いニンジンを食べるのだ。
本気でまずい感じがする。






 

 
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