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特集


ロマンの木曜日
 
高所恐怖症克服大作戦

高い所が苦手だ。とにかく恐くて仕方がない。長い間苦しめられているこの高所恐怖症を克服して、高い所を楽しめる様になりたい。心の奥に棲みついている恐怖症と真っ向から向き合った捨て身の企画。蒲田とお台場を舞台に、「高さ」への挑戦が始まる。

(text by 住正徳

高さに挑む

僕の高所恐怖症はいつからなのか?

そもそも、僕はいつから高所恐怖症になったのか?
幼い頃からの記憶を辿るが、高所を恐れる様になったキッカケとか、時期とか、思い当る節がない。

古いアルバムをめくり、過去の高所体験をひも解いていくと観覧車から写された風景写真が出て来た。


向ヶ丘遊園の大観覧車より

実家の近所だった向ヶ丘遊園の大観覧車から撮影された写真だ。向ヶ丘遊園の大観覧車は高さ50メートルで、当時は日本一の規模を誇っていた。

写真の裏には「昭和52年」とあり、僕は小学校2年生。
その写真と並んでアルバムに張られていたのが下の写真で、母と弟がゴンドラの中にいる。


ゴンドラの中の母と弟

対面に座っていた父が撮影したのだろう、この時僕は父の横に座っていたのか?
僕がゴンドラの中にいる写真を見つけられれば、少なくとも小学校2年生までは高所恐怖症ではなかったと分る。

その事実を確かめるため、アルバムを更にめくっていく。


わんぱく相撲

次のページには「昭和53年7月16日わんぱく相撲大会」というキャプションと、僕がわんぱく者に投げられている写真があった。

ゴンドラの中にいる僕の写真は見当たらない。

僕はゴンドラに乗っていたのか?
実家の母に電話で問い合わせたが、全く覚えていないと言われ

「あんた高所恐怖症だったっけ?」

と聞かれる始末。何て親だ。


昭和52年、僕はあの大観覧車に乗っていたのだろうか?
はっきりとした証拠は見つからなかったが、きっと乗っていたに違いない。乗っていた事にしよう。

そして、あの頃の僕に戻りたい。
恐いものなんて何もなかったあの頃に……。


現在の向ヶ丘遊園跡地 1本だけ残されたモノレールの橋桁

今、改めて向ヶ丘遊園の大観覧車に乗れば、当時の自分が蘇るんじゃないか?
何の根拠もなくそう思いたったが、向ヶ丘遊園は平成14年3月31日に閉園してしまっていた。
久しぶりに訪れた「かつて向ヶ丘遊園だった場所」には、華やかだった当時の面影は全くなかった。小田急線の「向ヶ丘遊園駅」として名前だけを残し、駅から遊園地までピストン運転されていたモノレールも、橋桁1本だけを残して線路は撤去されていた。

もう、あの頃の僕には戻れないのか?

いや、戻りたい。
高所恐怖症を克服する為、「とことん高所に出向いて強引に高い所を好きになってしまおう!」作戦を決行する。


 

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