文房具売り場では、食べ物そっくりの消しゴムを売っている。こんなものを見てしまったらさぞや乙幡さんもつらいだろう・・・と思いきや、頭はしっかり「これは、ゴム」と認識するのか、それきり心は穏やかだ。たぶん食品サンプルを見ても同じではないか。
よく似せたものを目の前にしても、脳はあっさりとそれらをやり過ごすが、「ん?これってあの食べ物にちょっと似てないか・・・」と脳自身が食べ物のイメージを描き出すと、それはより強く実感として迫ってくる。そう、「北風と太陽」のような話だ。具象よりも抽象という典型的な例である。
などとごたくを並べている場合か。腹減った腹減った。また目がかすんできた。 |