デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
おじいちゃん達の野球チーム

昼食はおにぎり、サンドウィッチ、バナナなどが人気

野球の話をよくする。当然、サッカーの話はゼロだ。

昼食も何食ってるのか気になる

昼食時間も何食べてるのかすごい気になったので見せていただいたのだが、見渡すとおにぎり、パン、バナナあたりの手軽な炭水化物が人気でスポーツチョイスだった。和泉会長はコンビニの赤飯おにぎりを食べていて、ナイスチョイスで心を奮わせてくれる。いつも買ってくるんですか?と聞くと、「みんな母ちゃんに追い出されるんだよ!」と笑っていた。

みんな野球が好きなのだ

昼休みでも、キャッチングの後のスローイングに入る動作などを真剣に語り合っている選手たちもいる。健康話とちがって野球話のときにはまじめな顔つきだ。

あ、高橋さん来たよ!とみんなが騒ぐ。アイドルでも来たのかと思うと、高橋投手、ほら日ハムの高橋直樹だよ、と教えてくれたのだが残念ながらこちらは全くの野球音痴である。宇野がヘボいと言っておけば笑いがとれる、くらいのことしか知らないのだ。そんなことも知らないの?と呆れ顔の会長に教えてもらったのだが、高橋選手は現在は大リーグ解説などもやっている大投手、それがなんと今は品川トータスの一員なんだそうだ。それはすごい。強いわけだ。

といってもとっさのことでどなたが高橋選手か見失った。大リーグ?といえばさっきのドジャースの方だろうか?


赤飯おにぎりを買ってきてくれたドジャースのユニフォーム選手

 

午後の練習はノックやシートバッティングなど本格的

ノックが好き

「おいおいー81才がんばろうぜ81才!」と野次が飛んで驚く。「悔いのないように!」と野次ってまた笑っている。ヒャーッ!と冷やかされたかと思うと、ナイスキャーッチ!と歓声が飛んで、見れば後ろ手でフライを捕ってみんながオオーッ!という場面に出くわしたりする。

僕はこのノックというものが何か好きになった。野次が飛んで笑い声が飛ぶ。3メートルくらい落下地点を見誤ったりもするのだが、一塁までノーバウンドの送球でハッとさせられたりもする。それの何がいいのか分からないので天気が良くてただ浮かれてただけなのかもしれないけれど。

 

チーム内最高齢(81歳)の蛭見選手に話を聞いた

蛭見さんに話を聞くといいよ、記者さんが取材に来て新聞にも載ったんだよ、今連れてくるから、と最高齢の選手にインタビューさせてもらえることになった。


走塁練習を行う最高齢の蛭見選手
外野ノックでも全力疾走

が、困った。今日の目当てはお茶だったのだ。目的も達成してしまったので何聞こうかと焦った。なんだい?と声をかけられてインタビューの旨を伝えて、さあどうしようか。とっさに出たのは「持病はありますか?」という質問だった。

「持病ねえ‥‥。」と考えをめぐらす蛭見選手。人生の先輩に大変失礼な質問をぶつけてしまい、恐縮の沈黙時間だった。「‥‥そうだなあ、頭がわるいことかな。」と蛭見選手が答えて二人で大笑いした。

蛭見さんが仲間たちと品川トータスを始めたのが25年前。当時の創立会員は「半分くらい死んで、半分くらい動けなくなっちゃった」そうだ。家では趣味の俳句や絵画をしたりしてるが「止まってる球打つのはおもしろくねーよ」と体を動かすのはもっぱら野球である。

「あいつは新日鉄で、あいつは明治で」と教えてくれた蛭見選手だが野球経験は少ない。「昔の子どもはみんな野球やっててそんくらいしかしてない」蛭見選手が元プロや元社会人野球の後輩を持っている今が何だか不思議だという。

順番回ってきたよー、と他選手から声がかかり、「とにかく健康にいいよ。頭にはどうかわかんないけどさ。」と語って蛭見選手はバッターボックスに入っていった。

 

さすが大先輩

大人だ、という形容を3倍くらいにした意味で、おじいちゃんだ、と言いたい。落語文化か、こちらのおじいちゃんたちの冗談は洗練されている。老いを揶揄されても冗談で笑い飛ばすそれは、目の当たりにすると圧倒的な力強さだった。

そのあと蛭見選手はデッドボールをくらっていて「蛭見さん見えてねーんだもん、デッドボールくらっちゃったよ」と他選手がまた野次っている。

「俺たちもねー、80までやれるかなー」「90までいけるよー!」そんなことが聞こえてくる。今日はほんとにずっとこういう野球である。


この日はデッドボールがあった

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.