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フェティッシュの火曜日
 
おじいちゃん達の野球チーム

球場のそばの道から見る人も見ない人も

球場のそばを子犬連れたギャルが通る

蛭見さんに話を聞いて、ついつい気になってしまったので和泉会長に「大変なことになった人とかいるんですか?」と聞いてみた。そりゃあね、と苦笑いで、倒れたりする人がいたり、救急車で運ばれてく人もいるからね、とここではさすがに冗談もなかった。

携帯で話しながらちっちゃい犬を散歩させるギャルがそばの道を通る。晴れた昼下がりだ。フェンス越しにはうっすら「あちら側の世界」も感じさせる野球が繰り広げられている。僕はこの還暦野球というものを知らなかったが、多分ふだん何気なく球場のそばを通っているのだろう。僕はあのギャルだった。そして今はおじいちゃんだ。書いていて自分でもよくわからないがそういうことに近い。

 

練習中も終了後も絶えずボールをみがく選手たち

人生の大先輩はみんな偉大だ

驚いたことにボールを使う練習中はたえず誰かがボールを磨いている。ベンチ前でキュッキュやってるのだ。「やっぱり道具は大事にするんだよね。みんな終戦派だからさ。」と聞いて、カメラを湖に落っことしたりする自分の物持ちの悪さを反省したが、さすがにここまではできないとも思った。

この人たちは陸続きであったはずだ。会社に入っておっさんたちというのはやっぱり偉いな、と実感するものだけど、さらに上の人たちでしかも戦争も、いや戦争じゃなくてもどえらい経験をしてる人たちで、やっぱり陸続きには思えないくらいの人たちだった。

 

人生の先輩方、帽子のサイズについてもめる

偉大ですが帽子のサイズについてもめてます

練習終了後ミーティングでは今度購入する帽子のサイズ計測があった。サンプルを回してがちゃがちゃやってるのだが「ほんとにこれでやんのかよ!」「全部フリーサイズにすりゃいいじゃん!」「おれはこれでいいよこれくれー」「前のまんまでいいよ」「前のはダメだって」「おーい、おれMでいいよ」と勝手なことを言って紛糾して真ん中のドジャースの選手が困っている。こういう状況はいくつになっても変わらないのか。

 

でもやっぱり最後は経験の差

最終的には今度購入する帽子にはサイズがフリーの1種類しかないことが判明。なーんだ、とみんなやいやい言ってるので会長が「じゃー、軍隊じゃないけど、帽子に頭を合わせろー!」と軍で横行したであろうギャグでしめていた。妙な説得力があって感動した。


おじいちゃんたちが揉めている、説明つかないけれど僕はなんだかこういう光景に一番ぐっときてしまうのだ

外に出るとやっぱりふつうのおじいちゃんたち

まとめ

老いながら野球するというのはやっぱり大変なことのようだ。
野球好きはいつまでたっても少年のように見える。
詳しくないので書けなかったが素人目にはみんな野球が上手い。
おじいちゃんたちは健康の話と野球の話ばかりする。
おじいちゃんというのは陸続きだった。
でも陸続きに思えないものでもあった。

分かったことを書いてみたらわりと当たり前のことが並んだ。当たり前のことをちゃんと分かったことにするためには、還暦野球を見に行くのがいいかもしれない。

と、まとめて気づきましたが、還暦野球チームの水分補給しらべをするはずが、妙に当たり前のことを大事そうにつかんで帰ってきてしまいました。そして未だにありがたがりながらお茶をすすってます。



 
 
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