そしてあの日を再現する
「関係ないものを持ってピクニックに行く」動画の最後のシーンだった。橋の真ん中の地点で、端と端に僕とカメラがいて、後ろ向きで撮影していると向こうから人が歩いてきた。
ドラム缶橋は意外に丈夫だったが、歩くとゆれた。重いカメラに貧弱な三脚。バランスを崩したカメラの重みが先導して、柵の間をすり抜けて落ちていったのだ。
後ろ背にくぐもった音が聞こえて一瞬で理解した。振り返ると気泡と小さく沈みゆく音が立っていて、うっすら見えてすぐ消えていった三脚の端。その光景はいつまでも覚えている。
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