●加速するファンシー

　 先ほどの白パンツで、十分今回の企画は達成したと言ってもいいが、どうしても欠けているものがあった点は否めない。ファンシーな感じがないのだ。

　桃が男性であるか女性であるか、はっきりとした基準はない。しかし、基準がないがゆえに、想像は自由なのだ。

　先ほどの白い靴下と一緒にもうひとつ買っておいたのが、レース生地で作られた、つま先用のソックスだ。薄いピンクと花柄が、いかにもな感じをかもし出す。

　これも先ほどと同様にカット。小さいながらも大変なものができてしまった気がする。実のところかなり照れるが、これも履かせてみよう。

　これまた大変だ。いかにもなパンツ、しかもぴったりと肌に吸い付くように履けている。

　白パンツよりも生地にゆとりがなく、ぐいぐいと少し力を入れないと履かせられなかったこのパンツ。よく見ると花柄が横に伸びているのがわかると思うが、その辺も妙にリアルなのかもしれない。

　もう十分なのだが、桃にだってもっと大胆になりたい日もあると思う。ここぞと勝負をかけたい夜もあるだろう。

　そういうわけで、レース生地とその靴下のストラップ部分を組み合わせてもうひとつパンツを作ってみた。

　いや、今パンツと書いたが、これは単なる「Ｔ」かもしれない。さまざまな思いが心に浮かんでは、言葉として形になる前に姿を消していく。

　Ｔパック＆Ｔフロントとでも言えばよいのだろうか。書いたそばから打ち消したくなる言葉だが、実際そうなのだからしょうがない。いくらなんでも勝負かけすぎだろう。

　自分でしたこととは言え、もはや何も言うことはない。言葉はなくても、自分の力を全て出し切ったという達成感は確かにそこにある。それでもう十分なのだ。