だるまの街
頭のなかは釜めしのことしかなかったため、駅に着くまで、ここの名物がダルマだったことを忘れていた。
そう、ここの主役は“だるま弁当”なのだ。
その気はなくとも、ついフラフラとダルマに引き寄せられてしまう。本当に至るところダルマだらけなのだ。
…いかん。高崎に来たのはダルマ鑑賞が目的ではない。あくまでも釜めしを求めて来てるのだ。
これ以上ダルマに心が惹かれないうちに、駅ビルの中にある目的の店へと急いだ。
5階のレストランコートに、その店はあった。釜めし以外にも串揚げや定食などがある、とても居心地の良さそうな店だ。
一瞬ダルマにぐらりときたが、やはりここは初志貫徹、久々の釜めしとご対面といこうじゃないか。メニューを見ると、店内でも釜めしが食べられるらしい。てっきり持ち帰り専用かと思っていたが、温かい釜めしが食べられるのなら喜んでいただこう。
いつも、もっと冷えた状態で食べていた釜めしが、ものすごいホカホカな状態で出てきた。
「あー、そうだ、釜めしって私の好きな物ばっかり入ってるんだった。で、ウズラの卵がまたいいんだよなー。最後まで残しておいてから食べるアンズもたまらん…」と思いながら、一気に食べた。久々に食べる釜めしは、期待を裏切らない美味しさだった。
やっぱり駅弁っていいなぁ。しかも歴史があって大ベストセラーな弁当って、そのへんのポッと出の弁当達とはワケが違うよなぁ。素晴らしい。うん。素晴らしいよ。
「久々に釜めしを食べる」という目的が無事に果たされ、手ぶらで帰ってきても良かったというのに、やっぱり買って帰ってしまいました。
重かった。器だけでも700g以上あるというが、ごはんまで入れたら1キロ近いんじゃないだろうか。でも重さはちっとも苦にならない。
なんたって1日に二回も釜めしが食べられるのだ。大歓迎の重みと言えよう。
地味な食材ばかりだが、どれも素朴な味付けなだけに、飽きずにいくらでも食べられる。ここにスター選手はいない。いや、釜めしにスターなど必要ないのだ。
無駄に大きな画像を貼ったりしているが、今回の企画は「釜めし礼賛」じゃない。釜の再利用だ。いかん。忘れるところだった。