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ひらめきの月曜日
 
気象台に行ってきた
こちらが札幌管区気象台です。


先日、カルチャーナイトという札幌市の催しであちこちの施設を回ったのですが、その際、札幌管区気象台にもおじゃましました。
しかしその時はすぐ次の施設へ行かなければいけなかったため、見学できた時間はわずかでした。

その後ホームページをチェックしてみると、札幌管区気象台では普段から見学可能とのこと(見学できない日もありますので要確認)。

やった〜。
改めて、札幌管区気象台でお話をうかがってきました。

(text by 加藤 和美



■気象台のお仕事と道具たち

気象台では、見学可能な日で事前に連絡を入れれば、使用している機器を説明してもらったり、気象台の中を見せてもらうことが可能。

地元の小中学生が授業の一環として見学に来るほか、修学旅行生や婦人会など研修の行き先のひとつとして、気象台見学をしていくグループもあるのだとか。


案内してくださった、札幌管区気象台の青木さん。

まずは各種、観測機器を見せていただき、どのような仕組みで観測するのかお話をうかがった。

室内では機器の実物を手に取って、屋外では実際に設置しているものを見せていただいたので、両方の写真を併せて紹介していこう。

ちなみに気象台の敷地内にある、観測機器が設置された場所を「露場(ろじょう)」という。
露場は、観測結果がまわりの影響、例えば建物の影になったり、アスファルトで熱されたりしないような、自然な観測結果が出る環境になっている。


見せていただいた観測機器たち。
こちらが露場。金網で囲った中に観測機器が設置されている。

 

雨量計。後ろにあるのは上からかぶせる筒。

■雨量計

こちらが降水量を測る機械で、正式には「転倒ます型雨量計」。

左下写真で指している部分の片方に、0.5ミリの水がたまると、シーソーのように傾く。
もう片方にまた0.5ミリの水がたまるとまた傾いて…を繰り返し、傾いた回数によって、雨量を測っている。

ええっ、そうだったのか!
単純に、大きな試験管みたいなもので、水の量を測っていると思っていた…!

露場では筒に入れられており、冬場はこの筒にお湯がたまっていて降った雪を溶かして降水量を測っているのだそうだ。

指している部分に水がたまると、シーソーのように傾く。
露場に設置された雨量計。これは夏用。

 

真ん中から電波が出て、積雪の表面との距離を測る。

■積雪計

こちらは札幌では重要な積雪計。

雪の積もった量を測るのだが、その方法は、地面に向けて電波が出て、積雪計からの距離で雪の積もった高さを測るのだそうだ。
1時間前に測った距離との差で、この1時間に積もった雪の降雪量がわかる。

冬場のニュースで「1時間に○○センチの降雪があり…」と伝えられているのは、こんな機械を使っていたのか!

私は定規を積もった雪にぐさっと挿して、「降雪○○センチ!」なんてシンプルに測っているのかと思っていた。
ちなみについ最近までそうやって測っていて、積雪を測る道具を「雪尺」というそうだ。


露場に設置された積雪計。今の時期は出番なし。

 

露場の写真は撮り忘れた…。

■日照計

こちらは日照時間を測る日照計。

日光に当たると電流が流れ、その時間で日照時間を測る。

 

風速計。なんだかかわいらしいフォルム。

■風速計

風の速さと向きを測る機械。
正式には「風車型風向風速計」。

正面のプロペラで風速を、後ろの羽で風の向きを測ることができる。


露場で青木さんが「風速計はここにはないんですよ」と言うので、どこにあるのかと思ったら、「あそこにあります」と青木さんが指差した方を見ると、空だ。

気象台の隣にある、北海道開発局の鉄塔の上に設置させてもらっているそうだ。
よーく見ると、鉄塔の上で風を受けて、プロペラが回っているのがわかった。

隣の開発局の鉄塔の上に、風速計はあった。

 

手前の金属棒が温度計。

■温度計

気温を測る温度計。
プラチナでできていて、金属の抵抗で温度を測る。

こちらも私は普通の温度計(一般よりは精巧なくらい)で測っているのかと思っていたが、金属の抵抗を利用しているとは!

理科が苦手な私は目からウロコ、というか説明に追いつくのがやっとの情報ばかりだ。

露場に設置された温度計。円筒の覆いの中に温度計がある。

 

■アメダスの正体

上記で紹介した機械が設置されている、無人観測施設のことを「アメダス」と呼び、全国で約1300ヶ所設置されている。
アメダスは気象台以外にも設置されており、露場と同じく自然な状況を損なわない場所、例えば公園や学校に設置されている場合もある。
アメダスは意外とあなたの身近にあって、日々観測しているかもしれない。


なお露場にドーンと存在しながら、百葉箱は観測機器の発達によって不要になり、現在使われていないそうだ。意外!

露場の脇には、テスト中の機器を設置する場所もあった。
このように観測機器の性能が日々発達しているため、不要になっていくものもあるのだ。


使われていない百葉箱。子供の頃は誰か住んでいると思っていた。

 

■世界の上空から

またこの日は見ることができなかったが、気球につけた観測機器を上空30キロ地点まで上げ、毎日、気温・湿度・気圧・風向・風速などを測る観測もある。
上空まで気球で上がった後は、気圧で自然に気球が破裂して、パラシュートで落下してくるのだとか。

この観測は1日2回、世界中で同時刻に行われていて、日本では午前8時30分と午後8時30分の2回。
世界の国々で、同時に、毎日毎日こんな観測が繰り広げられていたとは…知らなかった!!
そんな世界的規模のプロジェクトが毎日2回行われていようとは…。
早朝や深夜に観測する国の人は大変ではなかろうかと、いらない心配までしてしまう。

このように、何から何まで新発見!な気象台。
自分の生活に密着している施設なのに、知らないことが多いなあー。


元はレーダー塔として使われていた塔。
現在は上空30キロからの情報を受信している。

 

 
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