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ちしきの金曜日
 
東壁とマッカーサー

■新橋の歯抜け地帯

東京のど真ん中に、数年間こんな感じのままの場所がある

うれしそうだ。よかったよかった。

新橋の駅前からほどちかい、新橋4丁目のあたりになんともすてきな光景が広がっている。「すてき」は語弊があるか。いや、でもすてきだと思っちゃったんだからしょうがない。
「ほんと、これはすてき」
ほら、杉浦さんだってそういっている。

2、3年前から通りかかるたびに気になっていた、新橋の歯抜け地帯だ。少しずつ立ち退きと取り壊しが進行しつつあり、更地になったところはフェンスで囲われている。ああ、これはダンメンの吉永さんに教えた方がよいかもしれない。

いずれ取り壊されるだろう古い建物がぽつりぽつりと残っていて、東京のど真ん中で数年こんな中途半端なまま、というのもおもしろい。上の写真がその様子。写真奥に向かって歯抜け地帯が連なっていっているので、おそらく道路を通すのだろう、という予想はついた。

 

■ともあれすてきな壁が大漁です


まさかこんなにさんさんと陽を浴びる日が来るとは思わなかったであろう壁さんたち

まわりはすべて取り壊され、ぽつんと残ったミニマルな佇まいの壁作品

かなり良い感じの建物とその壁。「パイプが斜めになっているところがいいです」と杉浦さん。「一階窓周りのカビ具合も好き」と。そこがポイントかー。

まさに歯抜けというにふさわしい状態。三方のビンテージな壁テクスチャがすてきだ

杉浦さんもぼくもたいそう気に入ったトタン芸術

裏はブルーシートという素材選びもぐっとくる

ブルーシートも気に入ったようだ

「ブルーシートのこの継ぎ接ぎ感がいい」
「ブルーシートって建材だったか?っていう大胆さがいいよね」

いわば外壁材にブルーシートを採用しているわけだが、これは「ガムテープは、家を修繕するのに最も適したツールだったのです」と言い、ガムテープの建材としての新境地を看破した八二一さんの「ガムテープであれが治る:建物編」を思い出させる。ブルーシートもまた建材だったのだ。考えてみれば「ホームレスの家」なんてまさにブルーシート建築だ。

「ガムテープであれが治る」シリーズ好きだったなー。

 

■壁鑑賞家の雄姿 


フェンス越しに見えるすてきな壁作品

杉浦さんをも唸らせる年季の入った壁作品が目白押しの新橋。オヤジの街、あるいはサラリーマンの街という印象が強い新橋だが、実は街歩きするとかなり興味深いところだと思う。壁を抜きにしても。

ところで壁がむき出しになった建物はフェンスの向こうにあることが多いので、壁を絵画のように正面から切り取る撮影をするために、杉浦さんは苦労をされていた。

上から!
狙いを定めて上から!
隙間から!
挟まりながら!

ときにはスカートめくりみたいな撮影法も

本人は夢中でまわりの視線など全く気にしていない。「なみだぐましい」と言ったらよいのだろうか。ぼくの普段の取材も端から見るとこんなふうなんだろうな、と思うとちょっといろいろ考えたよ。


そして、いよいよマッカーサーの登場です。


 

 
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