ぼくの世界を見る目と彼女のそれとはまったく違うんだな、と感じた。ぼくにとっては街は建築物という「彫刻」がならんでいるところだが、おそらく彼女にとっては「絵画」が並んでいる場所なんだと思う。
このとき「そういえば」と思い出したことがあった。このマスクメロン壁のように、隣の建物がとり壊され、それまで見えなかった壁がむき出しになっている物件がたくさんあるところがこのそばにある!
「道路通すために地上げされてる途中で、こんな建物がたくさんあるところがあるんだけど、行く?」
「行きたい!」
中学生の頃、こんなふうに女性を誘う日が来るだなんて思いもしなかったよ。 |