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ロマンの木曜日
 
農業用モノレールに乗りたい

ひたすら登る


コースはスタートしてしばらくは下り線と並走、ものすごい角度でどんどん登っていきます。
モノレールの椅子が車体の傾斜に対して水平になるように動くので、急角度でも楽に座っていられます。無骨な農家のモノレールを想像していたので初めはガッカリでしたが、乗車時間を考えるとこれは非常に助かります。ただ、傾斜が緩くなっても椅子が戻らないことがちょくちょくあったのはご愛嬌でしょうか。


スタートしてすぐ森に突入 しばらくは複線
木々の間を縫いながら登る ほとんど空に向かっている感じ
携帯はほとんど圏外なので非常の際は無線機で 後ろを振り返っても誰もいない

しばらく走りましたが、モノレールは歩くよりちょっと速いくらいのスピードで、まだひたすらに斜面を上へ上へと登って行きます。この角度をこのスピードで登るにはこの乗り物しかあり得ないわけで、距離と標高が同じくらいの速さで増えるという、初めて体験するエクストリームなのんびり感。不思議なことにこれが何だか楽しいのです。

また、周囲は見渡す限りの森林で、よく観察すると小さな沢が流れていたり、岩の隙間から水がにじみ出ているという、大河川の最初の一滴、みたいな光景も見られます。

やがて下り線が大きくカーブして森の中へ消えてゆきます。このまま登り続けて頂上をぐるっとまわって、あとで向こうから戻ってくるという仕組みです。


とうとう標高は1000mを超えた すごいところに生えている木
源流だ! そうそう気軽に来れない深い森の中
あとで向こうから帰ってきます なんだか楽しい

この日はうだるような暑さでしたが、標高が上がるにつれ確実に気温も下がってきました。何より木陰が太陽光をちょうどよく和らげてくれ、森を抜けてくる風と相まって何とも言えない気持ちよさ。まさに「森に包まれている」感覚を味わうことができます。この乗り物に乗るなら季節は断然真夏がお勧め。

ところで、こんないい景色の中でお弁当が食べられたらさぞかし旨いことでしょう。こんなこともあろうかと、ここに来る前におにぎりを購入済み。森の中で味わうシーチキンマヨネーズはワンランク上のおいしさです。


ここまで登るとだいぶ涼しい もうひとつの主役、おにぎり登場
おいしい、マジで ところどころに監視カメラがあるので安心
最頂標高まであと少し あそこの角が頂上か!

いよいよ最頂標高、1,380mに到達です。果たしてどんな素晴らしい景色が待っているのかと、わざわざおにぎりを少し残して迎えたのですが、周りの木々が伐採されておらず眺望はほとんどなし。いっくら森に優しいモノレールだからつったって頂上は景色良くなきゃ意味ねえっぺよー。


かなり残念な頂上からの景色 頂上を過ぎるとすぐ下りはじめる

頂上を過ぎるとすぐ下り。さっきとは逆の勾配で下っていくわけですが、体重を背もたれに任せてしまえばいい登りに対して、下りは足で踏ん張らなければ前にのめってしまうほど。実はこちらがハイライトなのだということにようやく気づきました。相変わらず歩くような速度ですが、目の前にものすごい下り坂が出現するのはかなりのスリルです。

登りでも下りでもまったく飽きることがありません。やべえ、これ超楽しい。


一直線の下りはかなり怖い さっき通った登り線と合流
ジェットコースターかよ、という光景 椅子は常に水平になるように動く仕組みなのだが
ダメと分かっていてもこうしないと支えられない こっちは一人なのですれ違いは照れる

登り線との合流後は、一度通った道なのでどんどん下ってあっという間にふもとの駅舎へ。
正直言って、いくらモノレール好きとはいえ70分はさすがに飽きるんじゃないかと思っていました。時計を見ると確かにスタートから70分でしたが、そんな時間の経過はまったく感じません。自分の足では絶対に進めそうもない急傾斜の森を登り下りしながら進むのはホント楽しいですよ。


え、もうおしまい?と本気で思った またいつか乗りに来たい、が、遠い…

ちなみに料金は1500円。はじめちょっと高いかなと思いましたが、降りてみればそんなことはすっかり忘れて大満足。
僕が行ったのは平日だったので乗客もまばらでしたが、地元でもかなり評判らしく、休日ともなると2時間待ちはザラだとか。

モノレールは楽しい。やっぱり僕が思っていた通りでした。


奥祖谷観光周遊モノレール

徳島県三好市東祖谷菅生28番地
TEL 090-7781-5828

モノレール敷設したい

正直、あれだけの規模のモノレール、「よく造った」と思いました。そして僕も自分のモノレール敷設したい欲が出てきました。
これからは、老後の趣味で世界一周をしたりログハウスを建てたりする人がいる一方、モノレールを敷設する人も増えてくるに違いありません。

カーナビも迷うほどの山奥でした

 
 
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