無念、三平方
ざんはわ石川さんが声を出す。
「おおおーいいい!」
旗はあがっているが・・
すぐさま大北さんから電話が入った。「声、はっきり聞こえますね」と。
大北さんがいるのはテラスの一番奥。つまり残念ながら声の限界距離はまだ分からないということなのだ。距離にして約300m。恐るべし、声。
もはや対岸しかない
最初の場所へ三たび集合して、案を出し合った。画期的と思われた三平方のアイデアも現実の前に敗れた。もはやこれまでかと皆が感じていたそのとき、読者の近藤さんが口を開いた。
「行きましょう、対岸へ」
「対岸へ」
地図によると、対岸までは約700m。双眼鏡でないと見えないようなそんな距離に近藤さんが行き、こちらの声を聞いてみるという。
しかし歩けば30分はかかりそうな距離。こちらが心配していると、今日はバイクで来たのでそれでいきますとのこと。そ、それはすごい!
数分後、近藤さんから電話が入った。
真正面の対岸は残念ながら工事中で立ち入り禁止のようだった。その横の橋(晴海大橋)の上にいるから声を出してみて欲しいとのこと。
「いま橋の上にいます!」
しかし近藤さんの姿はまったく見えない。
「今どのあたりですか?」
「みなさんに近い側の歩道で赤い旗を振ってます!」
こちらにいるみんなで目を凝らしてみるが、それでも近藤さんの位置は分からない。(上の写真のどこかに写っています)
分からないながらも、とにかく声を送ってみるしかない。携帯電話で近藤さんにタイミングを伝え、声を出す。いちにの、さん!
「こーんどうさあああああん!!!」
叫んでいるざんはわ大北さんが持っているのはマイクではなく、ウェブマスター林さんの持ってきたデシベル計である。
「聞こえまーすかああああ!!」
記録した音量は88デシベル。「騒がしい工場内」と同じレベルの音量とのことだが、はたして橋の上の近藤さんに聞こえただろうか。
最後の賭け
すぐに近藤さんに電話をかけてみた。しかし答えは残念ながら「やはり聞こえないですね・・」とのこと。
ただ、橋の上には車も走っていてこちらの声が聞こえにくいのかもしれない。近藤さんは、最後に一度だけ橋の上から「三土(みつち)さん」と叫ぶので、聞いていて欲しいといって電話を切った。
そのあいだに、目のいい読者の方が近藤さんを見つけたらしい。「V字の橋脚の右側のところじゃないでしょうか」
もしかして、近藤さん?
風に乗ってかすかに声が聞こえてくる。
「み・・さあああん! は・・さああん!」
これはもしかして近藤さんじゃないか?みんなが感嘆の声を上げる。しばらくして近藤さんから電話があった。「聞こえました?三土さん、林さんて言ったんです。」
はい!聞こえた。聞こえました!
「聞こえたよ、近藤さん!」 (注:やらせです)
たぶん1キロぐらいが限界
最後の青春映画みたいな写真は後からお願いして撮らせていただいたもの。何しろ一番左側には近藤さん自身が写っています。
しかし最後に近藤さんの声が聞こえたときはこれぐらいの気持ちだった。まさか肉眼で見えないような場所から声が届くとは。ただしその声はほんとにかすかなものだったので、たぶん一キロが限界だろうと思います。
暑い中、このような企画にご協力くださった読者のみなさま、本当にありがとうございました。