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ロマンの木曜日
 
インコの家出・捕獲大作戦
ここから脱走。写真は脱走補助罪の伊藤家長男


ヒステリックで狂暴、鳥界のイエロークラッシャーこと友人宅のセキセイインコが逃げた。

私にとっては朗報である。あの危険なインコには散々痛い目にあった。

しかし、友人のあわてぶりが尋常ではない。時計となってデイリーポータルにも貢献してくれたこともある。

仕方ないのでとりあえず、友人伊藤家に向かった。

探すフリだけしにいくとするか。

(text by 土屋 遊



フンフフンフンフン(ご機嫌なピーちゃん)
そうはいかないわヨ

自由を謳歌するピーちゃん

駆けつける(フリをする)と、すでにピーちゃんは伊藤家のご近所の庭先でのんきに自由を満喫していた。

あらアンタ!なにしにきたのヨ!

というような拍子抜けの顔。アウトドアでのピーちゃんは狂暴に見えないのが不思議だ。

「いっそこのままストレスのない世界へ羽ばたかせたらどう……?これがあるべき姿でありまして……」という私の動物愛護精神をムシして、伊藤さんはピーちゃんにそっと手をさしだした。

見事に指に乗ったピーちゃん。

「はあー?乗るか?フツー」

やはり、いつもの私への威嚇は虚勢であったか。本当はビビりなんだな……と思った矢先、バサバサッと大空にはばたき、ブチ当たるように2件先の小高い木の中に消えた。

あの、目に痛いキイロいボディも見えなくなってしまったのだ。

 


声は聞こえど姿は見えず

(よせばいいのに)伊藤さんの声に応えるピーちゃんの返事が聞こえてくる。

「ピーちゃん!ピーちゃん!」
-- ビーッ!

うわ。耳をつんざくような甲高いあの声。姿は見えないがピーちゃんにまちがいない。

伊藤さんは、さっきまで、「刺激しちゃまずいから家で待機しろ」と言いつけていた息子を呼びつけ、もう一羽のインコ、Qちゃんを持ってこさせた。釣るのだ。鳥で鳥を。



虫カゴのQちゃん。お気の毒すぎる
呼びかけ中

 

耐久戦にもちこむ

「ピーちゃん!イイコ!」
-- ビーッ!ビーッ!
「ピーちゃん!イイコ!」
--  ビーッ!ビーッ!

家出されてイイコもクソもないもんだと思うが、たしかに反応しているようだ。Qちゃんの声にも必死に応えている。 なにを言ってるんだろう。

-- でてこいよ!
--  イヤヨ!

そんなとこだろうか。

伊藤さんはイスとタバコを持ち出し、持久戦を覚悟したらしい。



Qちゃんも私もいい迷惑


「どうかしましたか?」
木に囲まれたお家の方が声をかけてくださった。
「まあ……困ったわねえ。それは大変ねえ……」
と、とてもおやさしいAさんだ。
でも自分の家の木を中年女にじっと監視されるのも困るし大変だと思う。

それでも私は伊藤さんにつきあうことにした。


ピーちゃんのことで頭がいっぱいの人


うちでもインコの"がばちゃんA"が逃げたことがある。ちょうど伊藤さんが遊びにきていた。近所のおよそ15名で一斉捜査をかけ探しまわったが、そのなかでも、伊藤さんが一番悲壮な形相をしていたのだ。

あまりにも必死なひどい顔なので、見るに耐えられず、何度も「もういいよ」と言ったが、てんで耳を貸さずにどこまでも探しまわっていた。

1時間くらいたったころ、うちの屋根にひょっこり姿をあらわした"がばちゃんA"は、私を見つけて「お、いたいた!」という顔で舞い降りてきた。一番よろこんだのは他でもない伊藤さんである。


 

 
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