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ロマンの木曜日
 
インコの家出・捕獲大作戦

飛行。ふたたび

一時間半経過したころ、姿を隠していたピーちゃんが、いきなり飛び立ちあっというまに姿が見えなくなってしまった。

あああ!

走り出す伊藤さん。


これが例の悲壮な形相です

どこなのー?

わたしはここよー!

阿佐ヶ谷にこだまする人と鳥のやりとり

しばらく徘徊し、やっとピーちゃんの返事が聞こえてきた。声を頼りに移動するが、いまいち場所がつかめない。

「ピーちゃん!イイコ!」
-- ビーッ!
「ピーちゃん!イイコ!」
--  ビーッ!ビーッ!

家出してイイコもクソもないもんだと思うが、たしかに反応している。

「イックシュ!」(くしゃみの伊藤さん風)
-- イック!

「え、いつのまにそんなワザ覚えたの?」ついこの前まで電話番号を必死に教えていたというのに……。

「イックシュ!」
-- イック!
呼び寄せておいて私を完全ムシの伊藤さん。

そうして杉並の町を「イイコ!」と「イックシュ!」と叫びながら徘徊する伊藤さんに、初老のBさんがなにごとかとたずねてきた。

「インコかあ、インコじゃムリだろうなあ……」

「でも返事をするんです!ほら!」

初老のAさんには聞こえないらしい。だが、確実に近くには、いる。

 

ピーちゃん、墜落

その時だ。

「あらセキセイインコが落ちてきたわ」

と、上品な女性の声がした。声の主のもとへ、一目散にかけていく伊藤さん。

「どこですかあっ!」

焦るふうでもなく、御夫人が「ここよ」と指差した先に……


墜落現場
何食わぬ顔ででてくるピーちゃん

 

トリの顛末

御夫人Cさんの話では、飛んでいたインコをカラスが空中キャッチ。そしてCさん宅の玄関先に落としていったとのこと。あわてたインコはそくざに植木鉢のカゲに身をかくしたそうだ。

大冒険。でもやはり外の世界のおそろしさも知ったことだろう。さぞ恐怖に震えていると思ったのだが、敵はあいかわらずだった。人間にはどこまでも強気な鳥だ。頭にくる。


なによ!びっくりするじゃない!
逆ギレするピーちゃん。あいかわらずでなによりです。

疲れ果ててうたた寝する姿にも
狂暴オーラを感じます……

お仕置き

実際のところ、お仕置きすべきは不注意な人間の方だろう。だがやはりここはひとつ、羽カットで飛べなくなるようにしようということに決定した。これで私への脅し行為も少しはやわらぐことだろう。

その後、お世話になったご近所のみなさまAさん、Bさん、Cさんには、虫かごに入れたピーちゃんと一緒にご報告にうかがった。よろこんでいただけた。と、思う。

 

お気付きの方もいらっしゃると思いますが、記事内の写真はすべて事実を忠実に再現した写真です。


 
 
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