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ひらめきの月曜日
 
期間限定・タケノコの里

当たり前ですが、おいしい

まずはタケノコの刺身が出てきた。

なんとなく、刺身といえば穂先の柔らかい部分を使うのでは…と思っていたのだが、運ばれてきたのはものすごく大きく、そして太いタケノコだ。


えらい大きい刺身です

こんな太い部分でも大丈夫なのかな…? と口に入れてみて驚いた。甘い。すごく甘い。歯応えはしっかりあるが、決して硬いわけではない。噛めば噛むほど甘みが感じられ、そして瑞々しい。

料理を運んでくれたお姉さんによると、タケノコの味は主に3段階に分かれるのだという。出始めの頃は「とにかく柔らかさを楽しむ」のであり、次に「タケノコ本来の旨みが出て」きて、最後は「硬くなって空洞が出来るけど甘みが増す」のだそうだ。

聞けば、なんとこの店、今年の営業は5/13で終わるらしい。ちなみに取材に訪れたのは12日。…おお、ラスト1日前!

なるほど、この太さと甘みはタケノコの最終段階の証であったのだ。


続いて出てきたのは煮物です。
笑っちゃうほどにデカイ

あまりの大きさに、アベさんが「これ、竹だよー!」と喜んでいる。私も「さっき直売所で見たアレだ!」と言いながら半笑い状態で食べたのだが、栗のようなトウモロコシのような、なんとも言えない甘みが感じられ、ものすごくおいしかった。

歯応えも絶妙。たまらん。


さらに、タケノコの天ぷら登場
シャクシャクした歯触り!

付け合わせは、カタハという山菜の葉とウドの葉だそうだ。どちらもすごくウマイ。タケノコはもう言わずもがな。塩で食べることで、甘さがさらに引き立つ。

以前、よその土地でタケノコづくしの料理を食べたことがあるというアベさんが「こっちの方がエグみがない! おいしい!」と大絶賛していた。


最後はタケノコ御飯
タケノコがこれでもか、と入っております
手作りのお漬け物も出てきます
これはタケノコの糠漬け

ちなみに、お味噌汁の具ももちろんタケノコであった。

あっさりした味付けのタケノコ御飯を、珍しいタケノコの糠漬けと一緒に食べる。…ああ、なんて贅沢なんだろう。どれもこれも本当においしい。

 

1年に23日しか営業しない

来週ここに来ても、もう食べられないタケノコたち。店のお姉さんに聞いたところ「昔は5月いっぱいくらいは営業してたんですけど、最近は旬を大事にするみたいで…」とのことだった。

「タケノコの時期以外はこんなふうに襖を開け放さないで、ほんのちょっとの部屋しか使ってないんですよ」とお姉さん。普段は家の主人夫婦が竹を扱った商売をしながら、静かに暮らしているのだという。

「じゃあタケノコの季節になると、家具を整理しなくちゃいけないんですね。さっき廊下で棚とか見ました」と言うと「そうなんですよー」と笑っていらした。

今年はいつから営業を始めたのか聞いたところ「4月の21日だったかな」と言う。ということは、…年に23日しか営業しないのか!

今さらながら、ものすごく贅沢なことをした気分になってきました。


すっかり満足した様子のアベさん。満腹状態。

できることなら毎年行きたい

「来年はいつから営業するんですか?」と聞いてみたのだが、自然相手のことだけに正確な日にちは分からない、と言われてしまった。そりゃそうだろう。ただ「いつもだいたい4月半ばの土曜日から始めます」とのこと。

ちなみに今回食べたコース料理は2500円。採れたてを、採れた場所で、限られた時期に食べるという贅沢を考えれば安いくらいだろう。

お店の方が「1年ぶりにお店を始める時期は、勘が鈍ってるのか煮物の味が安定しないんですよねぇ」と言っていた。なんていい話だろうかと思う。

その時期のタケノコを食べに、是非また行きたいと思った。

店の周囲はタケノコ林。つくづく、これ以上の立地はないですよ

 
 
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