どこに入るべきか
直売所もすごかったが「竹の子料理」の看板もすごい。至るところにあり、どこに入ったものか物凄く迷う。
どの店もおいしそうだ。だって採れたてなのは分かっているのだ。おいしくないワケがない。
看板に導かれて店の方向へ向かうのだが、店舗らしき建物がどこにもない。あるのは普通の家であり「民家を開放しました」といった風情の建物ばかり。
しかし、考えてみれば当たり前なのかもしれない。タケノコの時期しか営業しないのならば、立派な店舗など必要ないのだろう。
あまりの普通の家っぷりに、思わず「回覧板を回しに来たんじゃないか」と錯覚してしまうほどである。
…よし、ここに入ろう。
「ごめんくださーい」と声をかけ、入ってすぐの広間に腰を落ち着けた。田舎の家は広いというのは分かっていたが、それにしても立派なお宅だ。
訪ねたのが昼時を過ぎていたせいもあるが、他にお客さんはほとんどなく、大広間を占領することができた。それにしても、なんというまったり感だろうか。つい寝そべってしまいたくなるほどである。
等間隔に並んだテーブルと、それぞれの卓上に置かれた調味料の類が「ここは店なんだ」と気付かせてくれる以外は、まったくもって「よそん家にお邪魔してる」といった感覚。
恐ろしいほどに、気持ちよすぎます。
さすがのアベさんも「いや〜、すごい、すごいよ高瀬さん!」と喜んでいる。食べる前からこの喜びっぷり。
私も笑顔で「いいなぁ。最高だなぁ」を繰り返すばかりだった。実際に寝そべってはいないが、気持ちの上では座布団を枕に横になっている。
ちなみに、メニューはコース料理のみであった。それ以外は、持ち帰り用の「たけのこ御飯」のみ、というシンプルさ。
「ここは親戚の家か!」というほど、くつろぎまくっているところに、いよいよタケノコ料理が運ばれてきた。