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ひらめきの月曜日
 
有明海のエイリアン「ワラスボ」を食べる

●ビジュアルショックを超えて

  時刻はもう昼、そうだ、おなかが空いてきている。さっき見たのは軽くなかったことにして、ワラスボ料理を食べに行こう。向かったのは干拓の里のすぐ前にあるレストラン「のんのこ亭」だ。


「のんのこ」とは長崎弁で「愛らしい」という感じの意味

 実はこの「のんのこ亭」、普段出しているメニューにワラスボ料理があるわけではない。事前に連絡してワラスボを食べたいと伝えたところ、当日用意してくださることになっていたのだ。(というわけで、もし訪れてみようという方がいらっしゃったらご留意ください)

 お願いしてあった旨を伝えると、「まずは生のをご覧になります?」と、調理前のものを出してきてくれた。


さっきのと結構違うな

 水族館で見たワラスボとは様子が違う。独特の雰囲気、という点は共通なのだが、別の魚にも見えるくらい違うようにも見えると思う。

 あくまで推測だが、水族館のワラスボは見やすいように水槽にいたのに対し、こちらはおそらく泥の中にいるものを漁で獲ったものだと思う。そうした生息環境の違いが、見た目の違いに表れているのではないだろうか。

 思うにこちらがより自然に近い状態でのワラスボ。じっくり見てみよう。


深海魚のようでもある
ギザギザの口がすごい

 歯がギザギザしている口がまず印象的なワラスボ。その上にポチポチと2つの黒い点があるのが確認できるだろうか。これは泥の中にいるために退化した目なのだそうだ。

 深海魚のようにも見えたワラスボだが、光が届かないところに住むという点は深海魚と共通であるというわけだ。

 じっくり見ているうちに、これはこれでかわいいとも思うようになってきのだが、いかがだろうか。そしてそうこうしているうちに、料理が運ばれてきた。


豪華ワラスボ定食

 ワラスボの塩焼きと味噌煮、茶碗蒸しに小鉢がいくつかと、有明海で獲れたアサリの入った味噌汁もついている。さらにご飯はおかわり自由で1500円とは安いと思う。

 では早速食べてみよう。まずは塩焼きからにしようか。


遠目だと普通に見えなくもないが…
よく見るとエイリアン

 盛り付けもきれいで一見なんでもないのだが、やはり頭を見るとショッキングであるのは否めない。

 それでもおいしいと聞いてわざわざここまでやってきたわけだ、実際に食べてみると……うん、あっさりして癖のない、淡白な白身のお魚だ。普通においしいぞ。


純粋においしい
腹びれが吸盤状になっているのがハゼ科の証

 食べている筆者の口が妙な形になっているように写っているが、これは骨が多くて口の中でより分けていたからだと思う。生臭さや泥臭さはなく、上品な味だ。

 天ぷらでしか食べたことがないが、ハゼというのはおいしい魚だと思う。ちょっと似ているような気がしないでもない、というところだろうか。


こちらは味噌煮
口がぱっくり開いてる

 しっかりした味付けがご飯とよく合う味噌煮もおいしい。やわらかく煮えた大根とも取り合わせもいい。

 塩焼きでは口がしっかりと閉じていたのに対して、味噌煮ではパカーンと大きく開いている。どうしてこうなるのかはわからないが、なかなか迫力がある。(ちなみに、生きているワラスボにこの口で噛まれても、ほとんど痛くないそうだ)

●人は見た目が9割かもしれないが、魚はそうでもない

  確かに生きている状態や生の状態は衝撃的だったワラスボ。しかし調理されて食べてみると、そんなことも忘れておいしくいただけた。

 「見た目が悪い魚ほどおいしい」という言葉を聞いたことがあるが、ワラスボにもあてはまると思う。

 ちなみに、地元ではよく食べられていると思い込んでいたのだが、そういうわけでもないらしい。店員さんたちも「初めて見た!」と驚いていたのが意外だった。

 というわけでワラスボの話は終わりですが、長崎の街はいろいろとおもしろかったので、おまけページを書きました。

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