デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
メガネを売ってる城・パリーミキ巡礼

●そして謎へと迫る

 再びツートップの店舗を紹介したい。


漂うセーヌ河の香り・大宮北店

 電線も少なく、ポプラの木ともよくマッチしている大宮北店。たたずまいそのものは味わい深い。

 だが、よくよく見るといくつか気になる点が挙げられる。


表記のゆれ
緑色系統の屋根

 1点目は表記のゆれだ。「パリ ミキ」と「パリーミキ」、この記事の1ページ目でも指摘した書き方の違いが、同一店舗内で起きているのだ。

 「パリ ミキ」と「パリーミキ」、力強い意志と軽やかさとが同居する。不整合としてではなく、柔軟性として受け止めたい。

 そして2点目が屋根の色。これまで紹介してきた店舗がオレンジや茶色系だったのに対し、こちらは緑色系。今回見た中では大宮北店が唯一だったので、レアな店なのだと思う。

 さあ、そろそろ本題の謎のついて迫ろう。この塔の部分、中は一体どんな風になっているのだろうか。


雨の跡で泣いているようにも見える(北上尾店)

 この塔の部分、どうなっているのだろうか。

 メガネ屋だけあって、やはり中にはメガネの在庫が詰まっているのだろうか。メガネが売れると、店員はここに登って品物を取りにくるのだろうか。

 それとも、もっと他の目的があるのか。監視して敵に備える? いや、敵なんているのか?

 考え始めると夢が膨らんでいく塔の部分だが、実は店ごとに微妙な差異がある。


小江戸に咲くパリ・川越宮元町店
夢が壊れそう

 中には川越宮元町店のように、中を想像するのがはばかられる態をなす塔もある。膨らんだ夢がはかなくしぼみそうになるのを超えて、中を確かめたい。

 そう、やはり中の人に聞くのが一番早いだろうか。


シャンゼリゼの小粋なメガネ屋・八潮店
コンタクトレンズを買いました

 立ち寄ったのは八潮店。ちょうどコンタクトレンズの買い物をする用事があったので、そのとき接客してくれた店員さんに聞いてみた。


── あの、パリーミキのお店って、お城にみたいになってますよね
店員 「ええ、そうなんですよ」
── あのとんがってる部分って、中はどんな風になってるんですか?
店員 「ああ、それ、企業秘密なんですよー」

 ええっー! 予想外の答えが返ってきた。

 にこやかに企業秘密と答えた店員さん。本気なのか、それとも冗談交じりでかわされたのか。余計に気になるではないか。ここはもう少し食い下がってみたい。


── とんがってる部分の中には入れるようになってるんですか?
店員 「2階には上がれるようになってるんですけどね」

 はぐらかされてる。質問の答えになっていない。

 ……夢があっていいじゃないか。

 答えは謎に包まれたままだが、それが悪いことだとは思わない。人生には時に、真実を知るよりも大切な場合があるものだ。人それぞれが心に描くとんがりの中。それでいいのだと思う。

翼よ、あれがパリーミキだ

●おしゃれに、そしておごそかに

  解けない謎を含みつつ、今日も街に建ち続けるパリーミキ。忙しい現代社会においては見失いがちであるが、それは城のかたちをしている。

 国内にはなんと1000以上の店があるパリーミキ。さらには中国、アメリカ、オーストラリアなど、海外にもある。

 全て踏破しようとすると気の遠くなる数字だか、その姿を想像する分には自由。実像を愛でつつ、まだ見ぬパリーミキにも思いを馳せたい。


 
 
関連記事
薬局の裏が城
誰がどう見ても!裏眼鏡橋
「ラブホテル」を鑑賞する

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.