「ツッパリの方のリーゼントにしてみました」

と大西さんが笑った。
このようにひさしの長いリーゼントはツッバリの方のリーゼントなのだそうだ。

上から見ると昆虫の裏みたいになっているのが分かる。

大西さんやゴトーさんのリーゼントと種類が違うのは素人目に見ても明らかだ。何かロックじゃない。

「でも、ツッパリもロックも根本的なマインドは同じですから。反骨精神っていうんですか？」

再び大西さんが笑った。

「前に大学生をリーゼントにしてあげた事があって、そのまま駅の方に歩いて行ったら、強面の人たちにからまれたらしいんです。それだけは気をつけて下さいね」

今度は笑わずにアドバイスをくれた。
終電間際の駅周辺は注意が必要なのだそうだ。

まあ、服装がツッパリの人のそれとは違うので大丈夫だろう、という事になって、リーゼントスタイルのまま帰る事にした。