六本木、新宿と数字を探し歩き、60番台と70番台が少ない事に気付く。 採点機能があるカラオケで、60点〜75点までを狙う。
3人はカラオケボックスに移動、54番の部屋に通され「54」をまずゲット。 この部屋でビンゴを狙う。
1曲目は以下の通り ・大塚:t.A.T.u.「All The Things She Said」 ・林:一風堂「すみれセプテンバー・ラブ」 ・住:郷ひろみ「よろしく哀愁」
全員18番で挑み、熱唱した。 出て来た点数が、大塚さん84点、林さん78点、住89点。みんな75をオーバーしてしまっている。
「得意な歌じゃ駄目みたいですよ」 そうだ。これでは、単なるカラオケ大会だ。
「普段、歌わない歌に挑戦しましょうよ、演歌とかラップとか」 60点から75点までの間の数字が欲しい。特に僕は73点が出れば、いよいよ「ビンゴ!」となる。
2曲目 ・大塚:都はるみ「北の宿から」 ・林:森進一「襟裳岬」 ・住:M.C.ハマー「U can't touch this」
それぞれがサビしか知らない歌に挑戦した。 僕なんかサビしか知らない上に英語だ。大丈夫か?
みんなが不安を抱えたまま、再び大塚さんから歌い始める。 「あなた死んでもいいですか?」 また熱唱している。声を張り上げこぶしが回り、79点。
「駄目ですよ、歌い上げちゃあ……」
林さんが続く。 「えりものー、はるーはー」 林さんはサビ以外知らないと言っていたが、サビも歌えてない。 採点カラオケは最後まで歌いきらないと点数が出ない。林さんの想像で展開する「襟裳岬」が3番まで続く。 これは期待出来る点数なのでは?
「71点」
大塚さんのビンゴカードがあく。 「何だか、複雑な気分ですね」 林さんの肩が落ちる。
そして、僕の番。M.C.ハマーの出番だ。 懐かしいイントロとともに曲が始まるが、「キャント・タッチ・ジス」の部分と、括弧内コーラスの(オウオウオウオウオウ)の部分しか歌えない。 オウオウと呪文のように唱え、キャント・タッチ・ジス。 オウオウオウオウオウ、ストップ・ハマー・タイム! 辛い。2人の失笑を感じるが、最後まで歌いきらないと点数が出ない。 ビンゴの為に高い所に登ったり、M.C.ハマ−を歌ったり(歌えてない)。僕の人生はどこに向かっているのだろう?
「採点不可能」
ん?採点不可能? 「英語の歌だから、駄目だったんですよ」
大塚さんがフォローしてくれるが、大塚さんのt.A.T.u.は採点されていた。 あんなに辛い思いをして歌いきったのに、採点してくれない。 林さんに続き、僕もすっかり落ち込んで無口になってしまう。