六本木ヒルズでの数字収集を終え、一行は新宿へ移動した。 地下鉄で移動の間も、僕たちのアンテナは数字に向いている。
「あっ、車両番号!」 「それは、オッケーにしましょう」
新宿に到着、西口の繁華街を歩くと、ビンゴ基準をクリアする数字が続々と現われる。 「7イレブンの看板はオッケーでしょう」 「あっ、あの居酒屋の入り口に35串ってありますよ」 「あの旅行代理店には27名!」
が然ヒートアップしていく数字探し。
郵便局の前を通りかかった時、林さんの小躍りする様な声が聞こえる。 「あった!あった!13番窓口」 郵便局のショーウインドウ内に、「13番窓口」という看板がある。 「これで僕、リーチです」 林さんは「5」を残してリーチとなった。
僕はあと「53」か「73」が出ればリーチだ。 53、73、53、73……。「!」 ひらめいた。高層ビルの53階だ!
「高層ビル、登ってもいいですか?」 主催者ならではの強引なリーチ狙いだが、2人は快諾してくれた。 高所恐怖症な僕にとって、53階の展望台は大変な鬼門だが、ここはリーチの為、登るしかない。
新宿センタービルのエレベーターは一気に53階まで上昇し、僕の体中に脂汗が流れる。 こんな思いをしなくても、どこかに「53」なんてあったんじゃないのか?
センタービルを下り、大塚さんの希望で30、40番台が欲しいという事になり、スポーツ用品店に行った。そこでは、背番号関係を探していたが、NIKEのTシャツに「53」と書かれたものがあった。
あの脂汗はやっぱり無駄だったのか?
外に出ると電光掲示板に今の温度が表示されていた。 「13、さっき出ちゃいましたね」 「しばらく見てたら、上がったり下がったりしないですかねえ」 「ちょっと見てましょうか」 「いや、寒いから、移動しましょうよ」