代々木公園へ
10月某日土曜日、私は原宿で降りた。目的地は代々木公園、都内でも有名な広い公園だ。
ここには、食べられる「マテバシイ」という種類のドングリが生えているらしい。
インターネットで入手した、マテバシイの写真を見ながら、同定(おなじ種類の樹木かチェックすること)をこころみる。
しかし、この同定というやつが、うまくいかない。私のようなシロウトが、植物の微妙な違いなど、見分けられるわけがなかった。
「わっかんないなあ…まあいいや、何でもいいから拾っちゃえ……猛毒のある実のなる木なんて、公園に生えてるわけないだろうし…」
下をみながらウロウロと歩く。
代々木公園は都民の憩いの場なので、週末だと人でいっぱいだ。
楽器を練習する人、気功をする人、ボール遊びする人、フリスビーする人、演劇の練習をする人、映画をとる人、写真をとる人。
木に向かって喋っている2人組がいたので、何ごとかと思って近付いてみたら、お笑いの練習であった。
「ま、そういうワケでしてね…」
「そんなわけあるかいな!」
「プップカプー(トランペット)」
「小雨のおおおおおおおお、降る街はああああああああ〜 ジャカジャカジャカ(ギター)」
「おお、ロミオ!」
そんな中、ひたすら、下をみながらウロウロと歩く。
「たぶんコレじゃないかな」というドングリを、大量に拾ってみた。ついでにギンナンも数個拾ってみたが、くさかった。
…不安だ。
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