記事『ドライフルーツで果実酒を仕込むとすごい』に関して

※編集部より:
通常は編集部よりご説明する内容ですが、JUNERAYさんのご要望によりご本人からご説明させていただきます。
編集部の立場からも、このたび酒税法上の問題の見落としがあるまま一時掲載に至ったことをお詫びいたします。(担当:石川)


こんにちは、JUNERAYです。

8月30日の公開時、当初の記事内にて「ラムレーズンを作り、ラムの部分を試飲する」という行為があったため、酒税法上の問題があるものとして公開を一時取り下げておりました。その節は私の知識不足により、読者と関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしました。

具体的にどういう問題があったか、果実酒を作る際の注意点と、取り下げに至った経緯を説明いたします。

●これから果実酒を作られる方へ

果実酒を含めた、家庭での酒類の混和については、下記のように規定されています。

焼酎等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。
 また、この規定は、消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならないこととされています。
1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす

引用 国税庁公式HP【自家醸造】より

使用できる酒類について

・家で果実酒を作る際には、アルコール20度未満のお酒を使用することができません(みりん梅酒を例に挙げていらした方がいらっしゃいますが、みりんは度数20度未満のため、使えないことになります)。

・なぜ20度なのかというと、再発酵によるアルコールの発生を防止するためです。糖をアルコールに変換する酵母は、通常アルコール20度以上の環境下で活動をすることはできないからです。

使用できる果実について

・ぶどうは酒類への混和を禁止されています。レーズンであっても同様です。

・度数20度以上の酒類であっても、ぶどうと混和することはできません。

ドライフルーツで果実酒を作る際にも、上記の条件を満たしているかをご確認ください。

●このたび記事の取り下げに至った経緯について

・筆者が誤認していたのは、「ぶどうであっても20度以上の度数で発酵が止まるのだから、アルコール20度の規定を満たしていれば問題ない」ということでした(実際、発酵中のぶどうにブランデー等を入れて発酵を止める手法はワインづくりに利用されておりますし、自家製ラムレーズンが合法であるという知識がありましたので、作成方法を紹介した記事の執筆にあたりました)。

・編集部での確認の過程でも、酒税法上の問題に気が付くことができませんでした。

・記事公開後、レーズンの使用についてお問い合わせいただき、税務署に「自家製ラムレーズンの作成は問題があるか」と問い合わせをいたしました。回答は下記のものでした。

① 蒸留酒にレーズンを漬け込む行為自体に問題はない。「ラムに漬けられたレーズン」は菓子とみなされ、「ラムレーズン」の作成は合法である。

② ただし、副産物として発生する「レーズンを漬けていたラム」については、リキュールを認可なしに製造する行為にあたる。

②の回答について、記事内で抵触している表現があると判断し、私から編集部に記事取り下げの依頼をいたしました。

・ラムレーズンは問題ないのに、自動的にできてしまうレーズン風味のラムが違法であることを疑問に思い、税務署に「副産物のラムはどういった扱いをすればよろしいですか」と再度問い合わせたところ、「ラムレーズンを作った残りのラムについては、飲用せず処分してください」との回答でした。

・また「ラムレーズンを作成し、ラム部分を処分する必要があることを知らず飲用しましたが、私は処罰されますか」と伺ったところ、「次回から飲用されないようにしてください」との注意喚起をいただきました。

・その後、材料の再選定の上、修正版の執筆と公開のはこびとなりました。

以上、長文となってしまいましたが、このたびの経緯の説明とさせていただきます。なぜ高アルコールの酒類であってもぶどうだけが使用できないのかの理由については、いずれ専門家の方に詳しく問い合わせたいと考えております。

皆さまにあたらしい記事本文をお楽しみいただけたら幸いです。

記事『ドライフルーツで果実酒を仕込むとすごい』

JUNERAY