徒歩でSAに来るということ
私が入った入り口は、大型車の駐車場の目の前だった。大きなトラックに気をつけて、走って建物の中へ。
いつか見慣れた光景ではあるが、何を見てもいちいち「お、SA!」と思う。車でしか来たことのない場所に歩いてたどりついたからか、新鮮なのだ。なんで私ここにいるんだろうという、テレポーテーションして突然たどり着いたという感覚だ。
周りにいる人たちはみんな薄着で、雨が降っているのに傘を持っていなかった。スウェット姿の気楽な人もいる。そりゃそうだ、みんな今まで車にいたんだもんな。
そんななかで私はびしょびしょの傘を持って、ニット帽をかぶり、厚手のブルゾンを着、そのうえマフラーをぐるぐる巻きにしている。ズボンのすそもだいぶぬれている。
普通にそこにいる人たちに対して、頑張ってここへたどりついた自分は明らかに異色だった。なるほど、徒歩でSAに来るってこういうことか。
SA は祭り会場ではなかった
さて、だんだん落ち着いてくると、SAの様子がいつもと違うことに気づいた。
子供の頃、大型連休のときなどよく寄ったSAというと、フランクフルトだのポテトだのこんにゃくの田楽だのの串刺しフードや、ソフトクリームなどが売られるぎやかなイメージが強い。そう、縁日の感じだ。
今回、平日の夜にSAに来てみてそれはあくまで混雑時のはなしだということが分かった。
全体的に空いてて、一般のお客さんよりも、運転手さんのようなプロの方が多い。いきおい、お祭り的な屋台は休業、お土産屋は開いていたが、人はまばらであった。
考えてみれば当たり前の事実だが、知らない世界をかいま見たようだった。
ただ、私にとっては祭りでなくてもやっぱり楽しいSAだ。仕事で来ている方が多そうなため、おおっぴらにははしゃげず、冷静を装いながら小さくはしゃいだ。
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