無料送迎シャトルバスに乗る?
闇を前に完全に及び腰である。「徒歩いくぜ!」なんて息巻いていた過去の私がうらめしい。
弱気も最高潮に達し、御殿場駅から急遽バスを投入することにした。持ってきた地図に、SAの近くにいくつかバス停があることは知っていたのだ。
が、バスターミナルで運転手さんに聞くと、SAの近くまで行く乗り合いバスは今日はもう出ないため、タクシーしかないという。タクシーかあ……。せっかくここまで車にたよらず来たのに、まさかここにきてタクシーに乗るのはロマンが許さない。いや、バスだって車ですが。
私がタクシーに乗るのを渋っていると、バスの運転手さんはSAの隣と言っていいぐらい近い「御殿場アウトレットモール」にシャトルバスが出ているからそれに乗ったらどうかとすすめてくれた。1時間に3本ぐらいで買い物客を送迎しているという。
アウトレットに用のない私が乗るのははばかれるが、ちょっとだけアウトレットに寄って何か買えばいいじゃんか! そう思ってバスを待った。
さて、待ち始めてから約20分が経過。
結局ほぼヒッチハイク
私は全く何の関係もない「飯野さん」という方の車に乗せていただいていた。いきなり状況が飛んでおりますが、説明させてください。
------以下、回想シーン------
シャトルバスは時間通りに来たが、アウトレット自体がすでに閉店しており、バスは従業員専用の運行になっていた。
それでも何とか乗せてくれませんかと必死で食らいついた私に、シャトルバスの運転手さんが、ちょうど帰るところだった従業員の方の自家用車に私を乗せるよう頼んでくれたのだった。それが飯野さんだ。
------回想シーンおわり------
今思えばなんて迷惑な話だろう。いきなりとばっちりを食った飯野さんは「SAに駅から行こうなんて、面白いことするねえ」と笑い「このあと用があるから近くまでしか行ってあげられないけど」とSAのかなり近くまで送ってくれた。
急展開であった。もともと気がちいさく、ヒッチハイクの経験は全くない。まさかの親切に感謝するばかりだった。本当に本当にありがとうございました(気の小ささゆえ、飯野さんの写真撮影をいい出せませんでした……)。
まっくらな道をゆく
SAまでの残りの道を歩いたのだが付近はもう、とにかく闇であった。山だ。どこに出しても恥ずかしくない、ここは山だ。近くまで送ってもらって本当によかった。
遠くからときどき、どーん! どーん! という大きな音がして、雷かと思ったのだがあれは何だったんだろう(翌朝もずっと音は鳴っていた。車が高速道路を通行する音だろうか)。怖くてほとんど走るぐらいのスピードで歩いていた。
と、書いたところ読者の方から何通かのご連絡をいただきました。どーん! という音は自衛隊御殿場演習場の演習の音ではないか、ということです。そうだったのか……(2006.02.27 14:00追記)
教えてもらった道を歩き始めて10分ぐらいでガソリンスタンド、シェルの明かりが見えた。SAだ!
近づくと、闇の中に駐車場と、入り口らしきトンネルが見える。ここでいいのか? どうなんだろうと思いながら、入っていった。 |