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特集


ちしきの金曜日
 
東京・墨田区の小さな博物館たちがなんだか面白いぞ

というわけで……

博物館めぐりも疲れてきたのでちゃんこを食べることにした。魅力的な工芸品も食欲には勝てまい。




つみれ、うますぎる。

ちゃんこがうまい

ちょうど昼と夜の間に訪れたおかげでお店は貸し切り状態でした。ぜいたく、というより僕のほかには店内には店員しかいないのでなんだかアルバイトのまかないの時間を思い出しました。

でも、ちゃんこはめちゃくちゃうまかったです。
だって、つみれとかこんなだし。

ちゃんこ道場 両国駅前店
墨田区横網1−3−12
営業時間 11:30〜23:00
03-5624-3655



博物館5 藍染博物館

最後はまさにこれぞ下町の職人技と呼ぶにふさわしい藍染博物館に伺いました。




墨田区で唯一の藍染職人の藤澤さん。
先代から受け継がれているという型紙。これを元に着物の美しい模様を作成する。

藍染とは何か。

藍染は藍草という草を使って着物を藍色に染める技術のことだ。

昔の着物はみんなこの藍によって染色されていたという。着物はみんな紺色をしていたことから、着物屋のことを「紺屋」と呼んでいたそうだ。今、東京・神田には紺屋町という地名が残っているが、あのあたりに紺屋(着物屋)が集中していたことに由来するらしい。

その後、関東大震災が起きて、神田の紺屋職人が墨田区に引っ越してきたらしい。そのことから墨田は染色の町として知られているそうだ。

「それが戦争が起こって当時の染色の技術屋さんもみんな機械で染色するようになって、いつの間にか人間の腕でやっているのは墨田区内でワシだけになってしまったんですわ」

と語る藤澤さん。ただ、別に感傷的な雰囲気ではなく、逆に唯一職人として生き残った自分を自慢したげな様子だった。なんか、職人として正しい反応だな、と思った。

白い木綿の着物に型紙の上からのりをつけて、そのあとに藍草を溶かした液をしみこませる。すると最初は紺色に染まった着物から、のりがついていない部分だけ色がはがれて模様が浮かび上がってくるようだ。

「大昔は紺屋が女性にもてて、だからみんなわざと仕事を終えて遊びに行くときに、手を青く染めてでかけたんだよ。わりとのんきな時代だったんだろうね」

藤澤さんの昔話はすごく面白かった。遊郭の話しとか。書くことができないのが残念だ。


人々の興味の数だけ、博物館は存在する。

人々の興味の数だけ、博物館は存在する

染色職人の藤澤さんにその髪はどこでどうやって染めたのか聞かれました(僕の髪は金髪だ)。
美容室で髪を染める行程を説明すると藤澤さんは興味深げに僕の話を聞いてくれました。

藤澤さんの後ろには「墨田区無形文化財」という賞状が置かれていた。それなのに偉そうな雰囲気がまったくなく、美容室の毛染めの行程に興味を持ったり、技術の自慢をしたり、遊郭の話しをしたり、なんというかあらゆる意味で現役だ。

83歳の下町の職人の話しを聞きながら、24歳の僕もあと60年頑張ろうと心に誓いました。


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