2月10日は、ぼくの30才の誕生日だった。
長かったような気もするし、短かったような気もするこの30年。でも、そんなあいまいな感想じゃなくて、せっかくだからその長さを実感したい。
誕生日の1日で。
(text by 三土たつお)
自分がかつて過ごした場所をさかのぼろう
30年間、振り返るとあっという間だ。でもそれは、過去にあったいろいろなことを忘れているからかもしれない。
ここまでのあいだ、住む場所も変わったし、所属する場所も学校から社会へと変わってきた。それらの場所へ、年代をさかのぼりながら実際にたずねていくのはどうだろう。30年の長さを少しは実感できるような気がする。
せっかくなので、それを誕生日の1日でやりたい。そして、ちょうど自分が生まれた時刻に生まれた場所にいるようにする。
30年を1日に圧縮して逆回しする感じになるんじゃないか。
まずは生まれた日について調べる
東京駅前の八重洲ブックセンターに、生まれた日の新聞をコピーしてくれる、という自販機が置いてあるのを見かけた。
自分の生まれた1976年2月10日がどんな日だったのか、まずは調べて見ることにしよう。
お金を入れて日付を選択すると・・
生まれた日付を入力してしばらく待つと、取り出し口からコピーされた新聞の一面がでてきた(社会面を選ぶこともできる)。
日付は昭和51年2月10日とあり、たしかにぼくの生年月日になっている。そして大見出しは「PXL選定にも疑惑」。
調べてみたところ、その左下にもあるとおり、あのロッキード事件の関連記事だった。事件がはじめて報道されたのがその5日前。だからちょうど世の中が騒然とし始めた真っ最中だったんだろう。
生まれた日へさかのぼっていきます
これが30年前。
ここに向けて、時間を10年ごとにさかのぼりながら、かつていた場所をおとずれていくことにしたい。
というわけで、最初は現在から10年前の1996年。ぼくはどこにいたか。