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はっけんの水曜日
 
初乗り100円のタクシーがある


ここが事務所。

なんだこの事務所

パンフレットに書かれた番号に電話をかけ、取材を申し込んだ。「では*月*日に事務所まで来ていただけますか」。

教えて頂いた場所は、とあるビルの2階だった。繁華街に面したビルなのだけど、一歩入ると外とは空気がまったく違う。なにがおかしいのかわからないけど確実に何かがおかしい。鏡の世界に入ってしまったみたいだ。そんなビルの一角にある事務所で、100円タクシーについてお話を伺った。


入るとこうなってる。

こちらが自転車タクシーの代表を務める高江洲さん夫婦。ご主人の提案でこの仕事を始めたのだが、今ではご婦人が代表を務めている。タクシーの話を聞きに来たのだけど、それよりもまずこの事務所からして気になる。


代表の高江洲さんご夫妻。

「ここは以前呉服屋だったんですよ、だからほら、タンスがあったりして。」

なるほど。なんだか芝居の舞台裏みたいな空間だ。生活感があるのかないのかわからない。


たんすとか。
和風テイストたっぷり。
たくさんの写真を見せていただきました。
この不思議事務所で自転車タクシーについてのお話を伺った。

 

ベロタクシーといいます

あれはなんなんですか。
「ベロタクシーという自転車タクシーなんです。」高江洲さんはゆっくりとした口調で話してくださった。

  • ベロタクシーは1997年、ドイツで産まれました
  • ベロタクシーのベロとはラテン語で自転車の意味です
  • 今では日本でも京都、東京など12都市で利用されているんですよ
  • まったく排気ガスを出さないので環境に優しいんです

沖縄では2005年5月から営業が始まり、現在では15人のドライバーが5台のベロタクシーを運転しているのだという。

「環境にやさしいことが大きなテーマなのですが、その他にも地域貢献や人材育成にもつながれば、と考えています。」

自転車の100円タクシーはベロタクシーという乗り物だったのでした。


おめでとうございます。
「ベロタクシーで結婚式を挙げたカップルなんかもいるんですよ。」高江洲さんが見せてくれた写真には幸せそうな二人がベロタクシーで町をパレードしている様子が写っていた。人とは違った結婚式を挙げたい方にはお勧めだ。
ディズニーの偉い人から直筆で手紙が送られてきていた。

それにしても初乗り100円で利益はあるのだろうか。
「現在収入源は車体広告のみなんです。」
そういえばベロタクシーの車体には大きく企業名がプリントされている。沖縄の企業をはじめ、ディズニーのキャラクターがほどこされた車体なんかもある。

タクシー運賃は収入源にならないんですか。
「運賃は全てドライバーの収益ということにしているんです。」

要するに各ドライバーはがんばったぶんだけ利益を上げることができるのだ。中には日に1万円とか稼ぐ人もいるらしい。婚式を挙げたい方にはお勧めだ。


100円の初乗り区間はどこまでなんですか。
「普通は500メートルまでを初乗りとして250円頂いています。ですがちょっとだけ試しに乗ってみたいっていう方に限り200メートルを100円で運行しているんです。」

あとは100メートル毎に50円が課金されるらしい。しかしこの距離というのは実走行距離ではなく、地図上の直線距離なのだという。
「ドライバーが定規を持っていて、地図にあてて2点間の距離を測るんです。そして料金を計算します。」ぐるっと回って同じ場所に帰ってきたらどうなるんだろう、とか思ったがそういう意地の悪い人はいなさそうなので聞くのをやめた。

「どうです、実際に乗りに行きませんか。」高江洲さんに誘われて外へ出た。



 

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