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特集


ロマンの木曜日
 
「いらっしゃいませ」を鑑賞する

■「いらっしゃいませFEMME」は歌うように

前ページまではとくに語尾に注目して鑑賞したが、ここからは旋律全体をレビューしてみよう。

きいてみる↓
●歌うようにNo.1●


 

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●歌うようにNo.2●

 

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●歌うようにNo.3●


実にメロディアス。音楽用語で言えば「espressivo」(表情豊かに)といったところか。

「No.1」は「いらっしゃいませ」を歌い終えるまでは比較的フラットな唱法をとっているが、「どうぞごらんくださいませ」の「ごらん」から深く沈み、「くださいませ」では繊細な高低差を付けたメロディで再び水面へと浮かび上がってくる。「いらっしゃいませ」の「せ」から「どうぞごらんくださいませ」の「ど」の間のシームレスな動きも実に見事である。

「No.2」は「No.1」と比べるとまだまだ青い感のある高低差の少ない歌い方だが、若さを活かした鼻声奏法と最期の伸ばしの甘えた感じが多くのファンを獲得していることと思われる。

今回の収集・鑑賞の成果として、「オプション付きはメロディアスになる傾向がある」という事実の発見がある。今後の研究が待たれる。


きいてみる↓
●歌うようにNo.4●



これまでソロによるパフォーマンスを紹介したが、実際の舞台ではこういった合唱が良く聞かれる。一人の店員が「いらっしゃいませ」というと周りの店員が連鎖反応的に追随して歌い始めることが多い。そのなかでも上の「No.4」は節回しの役割分担が見事である。前パート担当が語尾を下げ気味にして次へとつなぎ、それをうけた後ろパート担当が語尾をうわずり気味にしてきらびやかさを演出。歴史に残るライブに立ち会えたうれしさでぼくの胸はいっぱいだ。

 

■洗練

きいてみる↓
●後半平坦タイプNo.1●

 

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●後半平坦タイプNo.2●


こちらは前半はメロディアスなのだが、後半が平坦になるタイプである。2つを聞くと、全く同じ歌い方なのに驚く。全く別の店であるのにこの一致。おそらく「いらっしゃいませFEMME」の行き着いた洗練の結果の一つがこの「後半平坦タイプ」なのだろう。そう思って聞くと確かに腰の安定したエレガンスさを感じる。たぶんそれは言い過ぎだ。


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