音楽に合わせて叩く
ツツタット、ツツタットで小一時間。何とか足も交えてリズムを刻む事が出来る様になって来た。
「次はステップ2です。一拍目に左上のシンバルをカッと叩いて、ツタット」
これがまた難しい。
最初に左上のシンバルを叩いて8ビート。
カツタット、カツタット。
「本当は住さんの好きなCDを持って来てもらおうと思ってたんです」
良く聞き込んでいる自分の好きな曲に合わせて練習するのが一番手っ取り早いという。
僕はCDを持って来ていなかったので、吉澤さんが用意してくれたブルーハーツの曲に合わせてドラムを叩く事に。
「テンポがゆっくりな『青空』でいきましょう」
スタジオ内に大音量でブルーハーツが流れる。僕はあまりブルーハーツを聴いた事がない。気が付くと吉澤さんは歌っている。
ツツタット、ツツタット。
CDと一緒に演奏すると、自分のズレが顕著に分かる。
CDがズレてんじゃないのか? そんな気がしてくるが、ズレているのは自分だ。
ツツタット、ツツタット。
ステップ3、おかず
ブルーハーツを何曲かやってすっかり疲れてしまった。1曲分、最後までズレずにリズムを刻み続けるのは相当難しい。油断するとすぐにズレてしまうのだ。
「随分慣れてきたと思うので、最終ステップにいきましょう」
右側の太鼓とシンバルを使って、「おかず」の演奏だ。
今まではずっと左側を向いて叩いていたが、ここに来て初めて右側を向く。
ツツタットの後に、ドンドンドンドン、と4つの太鼓を順番に1回ずつ叩き、最後にシンバルを鳴らす。
「基本の8ビートを刻みながら、時折おかずを混ぜれば、それっぽく見えますから」
ツツタット、ドンドンドンドン。カシャーン!
頭では分かっていても、うまく手足が動かない。
ドンドンドンドン、右側を叩くと足が止まってしまったり、足に気を取られるとドンドン出来なかったり。
「頭で考えてるうちは駄目です。体で刻む様に」
この時点で23時をまわっていた。
すでに深夜料金に突入している。頑張らねば。 |